アジア太平洋地域におけるバイオテクノロジエコシステム

パンデミックはライフサイエンスやバイオテクノロジ企業に大きな影響を与えました。バイオテクノロジ企業は、その規模に関係なく、市場投入までの時間を短縮するために業務効率の改善に着手しました。この追求において、オートメーションは、先端技術への適応、需要への対応、コスト削減、再現性の向上を支援する即効性のあるソリューションとして登場しました。

パンデミックは、数十年にわたることが多い従来の創薬プロセスが、新たに出現した世界的な健康危機に直面して持続不可能であることが証明されたことを私たちに示しました。バイオテクノロジ製造におけるオートメーションとAIは、さまざまな形のデータ課題に取り組むことで、こうした新たな緊急課題に対処する助けとなり、その過程で不可欠な存在となりました。パンデミックがもたらした課題にもかかわらず、アジア太平洋地域のバイオテクノロジ分野は、より優れた技術と設備の可能性を活用することで、レジリエンス(回復力)と革新性を発揮し、堅調さを維持しました。

この変革は投資パターンの変化をもたらし、以前は世界中のイノベータに依存していたライフサイエンス産業が、今では地域全体の研究開発に投資しようとしています。アジア各国において、バイオテクノロジのエコシステムは現在、バイオテクノロジと医薬品の特定分野に集中しており、雇用傾向の地域差、資本集約的な製造、分野別分析の重視といった状況になっています。製造メーカは、アナリティクス、デジタルツイン(プロセスとプラント)、クラウド、サイバーセキュリティなどの高度な製造オートメーション技術に目を向け、特殊な医薬品を開発するためのより複雑な製造プロセスのニーズに応えています。そしてその一方で、世界的な規制ガイドラインの遵守をより厳格化することが求められています。

今日、アジア太平洋地域の各国政府は、バイオテクノロジ分野を推進するための革新的技術を模索しています。バリューチェーン全体を強化するためのインセンティブ、補助金、枠組みを含む多面的なアプローチを通じて、この分野の成長に資する規制環境を整えつつあります。その重点は研究開発だけでなく、製造や商業化にも及んでいます。以下に、政府がそれぞれの地域でどのようにバイオテクノロジの風景を形成しているかの例を示します。

製造とオートメーションにおける最先端技術の採用は、企業が総所有コストを規制･管理する上で重要な役割を果たしています。

資本集約的な製造業が高度化する一方で、雇用が奪われる懸念がかなり以前からあります。これは、市場における商品やサービスに対する需要の高まりを認識し、専門的な訓練や教育プログラムで人材の能力開発を促進することで軽減できるかもしれません。

クラウドラボとロボットによるオートメーションの採用は、ワークフローを合理化し、手作業によるミスを減らし、実験のペースを加速させ、生産性の向上につながります。ロボット工学とデジタルマイクロフルイディクスを使用した自動実験は、リアルタイムの電子記録を生成し、データの正確性と信頼性を保証します。ヒューマンエラーを最小限に抑え、プロセスを標準化することで、オートメーションはより高いレベルの実験精度と再現性を確保できます。

ロックウェル･オートメーションは、拡張性に優れたオートメーションプラットフォーム、マニュファクチャリングインテリジェンス、製造実行システム(MES)を提供し、バイオ医薬品企業の生産効率向上と規制遵守を支援するバイオテクノロジ製造ソリューションの最前線にいます。当社のソリューションは、さまざまなバイオテクノロジ企業の成功に役立っており、建物の設置面積の縮小、在庫の削減、ダウンタイムの短縮などのメリットを実現しています。

主な機能は以下の通りです。

• 拡張性に優れたオートメーションプラットフォーム: ロックウェル･オートメーションは、シームレスな統合のための基盤を提供し、企業が効率的に業務を拡張できるようにします。
• マニュファクチャリングインテリジェンス: リアルタイムの洞察とデータ主導の意思決定により、組織は業務効率と品質を向上させることができます。
• MESソリューション: MESは、製造工程を正確に管理し、生産を最適化し、コンプライアンスを確保します。
• 先端医療医薬品(ATMP): 先端医療は、病気の遺伝的起源に対処する医療への画期的なアプローチです。
•  相手先ブランド製造(OEM) PartnerNetwork™プログラム: ロックウェル･オートメーションは、世界中のOEMと協力することで、革新的な機器を設計、開発、提供し、市場における競争優位性を提供することを目指しています。

バランスをとる必要性に対処するために、FactoryTalk® PharmaSuite® MESがあり、一貫して予測可能な運用目標と生産性要件を満たすエンド･ツー･エンドのソリューションを提供します。プロセス、情報、オートメーション、およびサービスをカバーするソリューションのスイートは、リーンシックスシグマ環境を構築し、容易なスケールアップと無駄の削減を促進します。

AIによって強化されたハイスループットスクリーニング(HTS)プロセスの導入は、医薬品開発の精度と効率に革命をもたらしました。このオートメーションへのシフトは、業務効率を高めるだけでなく、製造メーカが業界の進化する要求に応えることを可能にしています。

バイオテクノロジ製造を含むライフサイエンス業界は、生命を救うイノベーションをより迅速に提供する一方で、二酸化炭素排出量を削減し、環境への影響を最小限に抑えるという野心的なネットゼロ目標に取り組むという、かつてない課題に直面しています。このため、規制や報告のコンプライアンスが強化され、業界の業務は複雑さを増しています。各国が廃棄物発生コストの責任を包装メーカに法的に課す中、サステナブル(持続可能)な慣行への取り組みは戦略的な必須事項となっています。

ロックウェル･オートメーションの電力、プロセス、情報ソリューションのノウハウは、サステナビリティ･コンサルティング･サービスとソリューションと組み合わせることで、この地域のバイオテクノロジ企業が環境･社会･ガバナンス(ESG)のコミットメントを満たし、サステナビリティの促進に役立っています。製品品質の向上から、水、空気、ガス、電気、蒸気(WAGES)の効率的な管理、スコープ1およびスコープ2エミッションの削減まで、その目標は明確です。

創薬には時間とコストがかかるという特性を認識し、有望な新薬の特定を迅速化し、病理学や画像診断のアプリケーションに遍在するAIの利点を活用するために、AIなどのテクノロジに注目するバイオテクノロジ企業が増えています。例えばファイザー社は、サプライチェーン管理、製造、臨床試験を含む業務の様々な側面にAIと機械学習を導入し、大幅な効率改善と情報に基づいた意思決定を実現しています。

パンデミックに続き、次の産業革命はより人間中心のアプローチを採用し、サステナビリティとレジリエンスに細心の注意を払うことになるでしょう。先進再生製造研究所(ARMI)との提携は、お客様がライフサイエンスにおけるこうした新たなトレンドを採用できるようなエコシステムを構築することを目的としています。このパートナシップは、「オートメーションからオートノミーへ」という道筋と、将来の産業労働者のスキル開発に焦点を当てた、テクノロジの未来に対する当社のビジョンと一致しています。

アジア太平洋地域のバイオテクノロジエコシステムのさらなる成長と成功に向けた当社の支援については、バイオテクノロジ製造のページをご覧ください。