エナジー・オブザーバー号は環境保護の提唱者であり、変化とグリーントランジションの推進者でもあります。同社は、産業子会社であるEnergy Observer Developments (EODev)の協力を得て、エネルギーの未来を最適化するソリューションを提案しています。当然のことながら、長年のパートナであるロックウェル・オートメーションが、これらの変化をサポートしています。グリーントランジションの促進は、常にエナジー・オブザーバー号のチームのテーマでした。マネージングディレクターのルイ-ノエル・ビビエス氏が、このテーマについて語りました。
1. エナジー・オブザーバー号のプロジェクトとその使命について簡単に説明していただけますか?
ルイ-ノエル・ビビエス氏: エナジー・オブザーバー号は2017年から世界中を航海し、多くの象徴的な都市に立ち寄り、より調和のとれた世界のためのサステナブル(持続可能)なソリューションを考え出すために懸命に取り組んでいる人々に会いました。エナジー・オブザーバー号は、国連の17のサステナブルな開発目標のフランスを代表する大使であり、その使命はグリーントランジションに内在する課題に対する認識を高めることです。
この船は、さまざまなバックグラウンドを持つエンジニア、研究者、科学者がスマート・エネルギー・ミックス・システムを開発した実験室でもあります。このシステムは、船上の完全なグリーン水素生産チェーン1内で太陽光、風力、潮力発電を組み合わせています。再生可能エネルギーの断続的な性質を補うことができ、バッテリとともに長期貯蔵として機能します。当社のすべての技術は、世界で最も過酷な環境である海洋で5年間、40,000海里以上にわたって試行され、テストされ、最適化されています。最終的に、業界パートナと開発したマルチエネルギーシステムは、その有効性とレジリエンシ(回復力)を証明しました。
有害な排出物がなく、経済的に利用可能な、信頼性に優れたサステナブルなエネルギーソリューションを開発することが、私たちの探求における課題です。
2. フランスは水素に関する2つの提案を提出しています。1つ目は環境移行省を通じて、2つ目は2020年9月に70億ユーロの提案です。最初に業界を立ち上げたとき、政府からこれほど多くの支援を受けられると予想していましたか?
ルイ-ノエル・ビビエス氏: 私たちは、2017年以来の進歩を誇りに思っています。私たちの船舶の技術と、一般の人々、選挙で選ばれた役職者、意思決定者、メディア、製造メーカに高めてきた意識が、グリーントランジションの加速と、秋に発表された欧州水素計画の強化に貢献したと信じています。
昨年5月25日、エア・リキード社の認定再生可能水素とEODevが開発した電気水素生成装置GEH2®を使用して、初めてエッフェル塔がライトアップされました。
当社の「Paris de l’hydrogène」イベントは、象徴的かつ歴史的なレベルで水素部門を紹介する「フランス再興」復興計画のハイライトでした。また、当社が広く発信した「グリーン水素技術は信頼性が高く、電力網のサポートに使用できます」という具体的なメッセージでもありました。
「水素」計画への投資は、エネルギー貯蔵とモビリティの両方において、産業規模での移行に必要です。
3. EODev子会社設立の背後にある開発戦略は何ですか?
ルイ-ノエル・ビビエス氏: ヨーロッパを旅する中で、私たちは、特に海運分野では、水素をベースとした具体的なプロジェクトがほとんどないことに気づきました。パートナの刺激を受けて、私たちはグリーン水素駆動ソリューションの開発を加速するために、独自の会社を設立することにしました。
私たちはその会社をEODevと名付け、2020年にAccor、Thelem Assurance、Amfilなどの寄付者から資金を調達しました。その後、分散型エネルギーの大手企業であるMonnoyeur Groupとトヨタが加わりました。
2019年、EODevとトヨタのチームは、船舶の自律性を延長するソリューションであるREXH2®を開発しました。その後、エナジー・オブザーバー号ですでにテストされていたこのソリューションに基づいてGEH2®を作成しました。これは最初の100KVA水素発電機であり、エッフェル塔のライトアップに使用され、最近では南フランスのボートイベントにも使用されました。
私たちは、エナジー・オブザーバー号で開発されたイノベーションをできるだけ多くのユーザに共有および展開できるようにすることに重点を置いています。そのため、EODevは、技術的にも経済的にもアクセスしやすい製品で、エナジー・オブザーバー号の画期的な成果を共有するためにここにいます。
4. 目標を達成する上で、パートナシップはどのような役割を果たしていますか?
ルイ-ノエル・ビビエス氏: 私たちは、エネルギーとグリーンへの移行を加速するために、60の企業と公的機関、民間機関の協力を頼りにしています。彼らは、資金面、技術面、人的面での強力なサポートにより、エナジー・オブザーバー号の航海とEODevの開発を可能にしています。
それぞれが特定の何か、多くの場合不可欠な何かに貢献しています。エナジー・オブザーバー号のプロジェクトは独立しているため、燃料電池、コントローラ、ソーラーパネル、推進翼、水素タンク、バッテリなど、各技術要素の最高の専門家と協力し、完全なシステムをより迅速に開発できます。すべてのパートナは、具体的かつ効率的な方法で物事を揺るがすという同じ目標に動機づけられています。
5. ロックウェル・オートメーションを産業パートナとして選んだ理由は?
ルイ-ノエル・ビビエス氏: 当社がロックウェル・オートメーションを選んだのには、2つの重要な理由がありました。1つ目は、プロジェクトと同時に2016/2017年に始まった当社のパートナシップに関係しています。このグループは、水素がまだ流行していなかった頃から、専門知識、ソフトウェア、および制御を提供してくれました。2つ目は、ロックウェル・オートメーションのスキルに関係しています。ロックウェル・オートメーションはオートメーションの分野で他に類を見ない存在です。ロックウェル・オートメーションの包括的かつ革新的なソリューションにより、さまざまなサプライヤのコンポーネントを使用したシステムの作成が可能になります。
6. このコラボレーションの優先作業領域は何ですか?
ルイ-ノエル・ビビエス氏: 当社の搭載システムアーキテクチャはすべてロックウェル・オートメーションのソリューションによって実現されています。ロックウェル・オートメーションのソフトウェアでコーディングされたエネルギー管理システムは、太陽光発電、風力発電、水素貯蔵、バッテリ、さらには推進翼も管理します。
エナジー・オブザーバー号は、長年TEchConnectサポート契約を結んでおり、Studio 5000を使用して制御を管理し、FT ViewPointとView Studioを使用してヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)と通信を行なっています。
7. ロックウェル・オートメーションとのパートナシップからどのようなメリットを期待していますか?
ルイ-ノエル・ビビエス氏: EODevがエナジー・オブザーバー号で使用されているものと同じツールを使用して開発する「産業用」製品とソリューションは、高い品質を達成する必要があります。そのレベルに到達するために、ロックウェル・オートメーションは、信頼性、堅牢性、汎用性、アクセス性を備えたソリューションを目指す当社の戦略的な資産である経験、国際ネットワーク、テクノロジを提供しています。
8. 今後のプロジェクトについて教えてください。
ルイ-ノエル・ビビエス氏: 私たちは、真の技術革新によって、船舶や産業用海上輸送向けの次世代エネルギーシステムを開発します。迅速かつ具体的に状況を変えるには、より強力な推進システムを開発し、よりコンパクトで軽量なエネルギー貯蔵の新しい方法に取り組む必要があります。ロックウェル・オートメーションは、今後も常に不可欠なパートナであり続けます。
1 再生可能エネルギー(風力、太陽光)を使用して水の電気分解によって生成されるグリーン水素は、タンクにガスとして貯蔵されます。太陽や風がない場合、燃料電池がこのガスを電気エネルギーに変換します。もう1つの利点は、このプロセスの副産物が水だけであることです。私たちはこれを「グリーン」水素と呼んでいます。これは、炭化水素を使用して生成されるため、CO2排出量の点でそれほど有益ではない「グレー」水素とは対照的です。
Image: © Energy Observer Productions I Bahamas
公開 2022/07/04