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Automation Today第61号: 特集記事

未来の工場を実現

新しいテクノロジは、私たちが食べたり飲んだりする物から働き方、運転する車、さらにサプリメントや医薬品を通じて私たちの健康状態にいたるまで私たちの日常生活のあらゆる面に影響を及ぼしています。

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これまでに、産業用モノのインターネット(IIoT)について耳にされたことがあるかもしれません。IIoTは、産業用インターネットまたはインダストリ4.0とも呼ばれ、スマートマシンとリアルタイム分析の機能を最大限に活用して産業プロセスに洞察をもたらし、速やかなビジネスの意思決定を推進します。実際に、アクセンチュア社は、IIoT市場が2020年までに5000億ドル規模に達すると予測しています。このテクノロジはあらゆる分野にわたり、製造業や小売り、医薬品、鉱業、公益事業および輸送を含むほとんどの主要産業に利益をもたらします。

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課題とチャンス

新たなチャンスは同時に多くの課題をもたらし、IIoTの急速な拡大によって、消費財産業のさまざまな企業がジレンマに直面しています。IIoTは、有益な資産からライフラインまでのデータの役割を一変させ、それによって生産の意思決定を主導し、私たちの生活様式や食事、さらには仕事かレジャーかを問わず旅行の方法にも影響を与えます。

今日、食品&飲料、自動車または医薬品業界を問わず、製造メーカが製品の安全性を保証することが必要となるにつれて、トレーサビリティやサプライチェーン全体、データの整合性がかつてないほど微細に分析されるようになっています。

残念ながら、ほとんどの製造メーカでは、旧式の設備や高齢化する労働力のスキルギャップ、適切なデータを特定しそれを計測するための困難さが組み合わさることによって、変化を続ける消費者の需要に対応するために必要な進歩を成し遂げているとは到底言えないような状況を示しています。

これらの消費財産業は、自社の競争力を維持し、製品の利用者の満足度を向上させる方法としてインテリジェントな接続オペレーションを目指しています。チャンスは無限に存在しますが、課題も少なくありません。特許が期限切れとなり、製品のライフサイクルが短くなり、偽造品が市場に氾濫するなかで、技術革新は常に重要であり続けます。
 

未来の工場

幸いなことに、これらの障害はどれも克服不可能なものではなく、製造工場をデジタル化によって変革することによって真にROI (投資利益率)の改善を達成することができます。

これらの課題は、新たなタイプの工場、すなわち未来の工場を実現することによって克服できます。未来の工場とは、相互に接続され柔軟性が高い、スマートでセキュアなコンプライアンスを維持する今日でも実現可能な工場です。未来の工場を生み出すアプローチを取ることによって、御社の成功に大きく貢献します。正しく実践することによって、ROIの最大化、設備資産利用率の最適化、市場到達速度の向上、品質および全体的コンプライアンスの維持が可能になります。

未来の工場は、スマートで、セキュアで、接続され、柔軟で、法令に遵守しており、今日可能です

デジタル技術を活用し、システムを水平・垂直両方向に接続する施設を想像してみてください。それは、意思決定やパフォーマンス、コンプライアンスの改善に使用できるデータを提供する工場です。それはまた、モジュール機器とモバイル機器の「プラグ&プレイ」機能を拡大し、従来より手作業による操作への依存を減らすことのできる施設です。さらにまた、自動機器認識および検証システムが自社の機器の配置を追跡し確認することができ、最新のビジュアルソリューションがプロセスステップを通じてオペレータをシームレスに導くことができます。
 

ビジョンを現実のものにする

ビジョンを実現する技術の進歩は、知識駆動型オペレーションの確立を可能にし、それによってあらゆるレベルで人とプロセス、テクノロジを接続し、共同作業を改善し、問題解決を促進し、組織およびサプライチェーン内の革新を改善することができます。

スマートマシンとスマート機器は、食品&飲料メーカが多くの障害を克服し、変化し続ける消費者の好みに合ったニーズに対応するために重要な役割を果たします。スマートマシン(一般的に、パフォーマンスの改善にデータおよび情報を活用するシステムを意味します)は、前例のない柔軟性、ますます高まる生産性、プラントフロアの最先端の効率をもたらすことができます。

このようなポテンシャルを持つにも関わらず、食品&飲料会社によるスマートマシンの採用はよく見ても徐々に導入されているに過ぎませんでした。ガートナー社では、スマートマシンの採用は2021年までに主流(大企業による30%の導入)になると予測しています。

当然のことながら、食品&飲料会社ではこれらのインテリジェントなテクノロジが自社のオペレーションにどのように適合するかについて疑問を持っています。そこで、ここではこれらのテクノロジによって得られる主要な2つの利点、すなわち柔軟性とデータおよび情報について詳しく見ていくことにしましょう。

柔軟性: スマートマシンとスマート機器は、柔軟な生産の新時代をもたらします。これは特に消費者がより多くの選択肢を求める食品飲料会社にとって非常に重要になります。袋入りスナック菓子の選択の多さを考えてください。チップスやクラッカーはもはやファミリーサイズで売られるだけではありません。消費者は、スナック菓子をパッケージから大きな箱入りまで、より多くの選択肢の中から選び出します。

この現代的な多様性に対する嗜好によって、食品&飲料会社は、多くの製品を製造できるだけなく、速く製造でき、それぞれの新製品ごとに生産ラインの追加が不要な機械が必要になります。このことは、より頻繁な切換えを意味し、同じ機械を複数のジョブに使用し、将来的な消費者の要求にも対応できる柔軟性を持った効果的なバッチおよびレシピ管理ツールが必要になります。

リニア搬送システム(独立型カートテクノロジ(ICT))やロボット工学などのテクノロジソリューションは、生産ラインに柔軟性を提供することができます。リニア搬送システムは、インテリジェントな搬送システムの基盤を提供し、高度で効率的な従来システムの代替手段を提供します。このシステムは、リニアモータのネットワークを介して多くのカートを安全かつ効率的に管理することができます。

ある機械装置メーカ(OEM)は、リニア搬送システムを使用して切換えにかかる時間を45分からわずか1分に短縮しました。つまり、ICTは複雑化を最小限に抑え、市場投入に要する時間を短縮します。ロボット工学も、梱包などのライン末端プロセスで柔軟性を提供します。ロボット制御に対応する単一の制御システムに基づくスマートマシンは、制御、安全およびプロセス情報の高速通信をサポートし、機械動作のより正確な制御に対応します。

さらに、スケーラブルなバッチおよびレシピ管理ツールの進歩により、食品会社がより柔軟性の高い生産ラインを構築することが可能になります。これまでは、1つのラインは単一製品専用で運用されることが普通でしたが、今後は、同じラインで簡単かつ効率的にレシピを切換えることが可能になります。

データおよび情報: スマートマシンと従来のマシンの主な相違点は、情報処理にあります。イーサネットベースのネットワークに接続することにより、スマートマシンは食品飲料会社がオペレーション全体を最適化するために使用できる非常に価値のある標準化されたデータを提供することができます。

メーカは、この情報を使用して製品在庫や切換えの遅延などに関する意思決定を改善することができます。また、スマートマシンはデータをクラウドに保存するオプションも利用でき、これによりさらにコスト効率が向上し、管理が容易になります。

センサテクノロジは、機械の主要コンポーネントと環境条件を監視することができる自己認識マシンを機械装置メーカが設計するために役立ちます。このレベルのマシンモニタは、機械装置メーカによってサポートされる予防保守も容易にします。機械は、有線および無線センサの両方で構成することができ、それにより生産ラインでより確実かつ効率的に製品を製造することができます。

食品&飲料メーカは、機械装置メーカと密接に協力してスマートマシンと接続するモバイルデバイスを導入することができます。これにより、オペレータが機械のすぐ近くで操作する必要がなくなり、機械をモニタおよび制御するためにデジタルアクセスを続けながらマルチタスクを実行することが可能になります。

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スマートテクノロジとオートメーション

IIoTの急速な進歩に伴って、医薬品会社はスマートな接続デバイスや分析ツール、マシンラーニングを使用して薬品の製造工程や患者の転帰を改善し、そのことを通じて業界のあり方を変革し続けています。

医薬品会社では、製造施設でのスマートテクノロジとオートメーションの使用が劇増し、薬剤の品質向上と製造速度の技術革新に寄与しています。また多くの会社では、最新の製造実行システム(MES)や電子バッチレコード(EBR)システムによる合理化されたオペレーションもすでに導入されています。

ただし、インテリジェントなデバイス数が増加するにつれて、製造メーカはプラントフロア全体および広域ネットワークで生成されるビッグデータを真の意味で劇的に変化させる方法で使用することに苦闘しています。

医薬品工場では、スケーラブルな分析プラットフォームに多様なデータタイプのデータを取り込むことができ、新たな洞察につながる意味のある相関関係を見つけ出すためにデータをモデル化することによりノイズを低減することができます。さらにまた、予測型の処方的分析も役に立ちます。例えば、バッチプロセスの逸脱管理は、製品品質と法規制の両方を維持するためにあらゆる医薬品工場で非常に重要な意味を持ちます。

最新の分析プラットフォームは、プロセス環境を超える広域ネットをすべての関連するIIoTデバイスや機械によって生成されるデータにキャスティングすることにより根本原因の分析の明瞭性を向上させます。バッチレコードの履歴に基づく逸脱原因のピンポイント特定に加え、ネイティブ異常検出などの分析ツール機能は、履歴データを使用してリアルタイムのモニタ品質を向上させることができます。

ネイティブ異常検出機能は、正常な動作を自動的に学習することによって機械のモニタ機能を強化し、異常が検出されると警告を発します。マシンラーニングは、医薬品会社が製品の品質を維持し、サイクルを繰り返すにつれてそれまで明確に把握できなかった「ゴールデンバッチ」を達成するのに役立つ高度な分析プラットフォームの1つに過ぎません。

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リアルタイムの拡張現実(AR)

企業のIIoTアプリケーションを接続することのメリットは、単一画面に複雑な分析や洞察を表示することだけではありません。予測分析によって、問題が発生する前に解決を可能にします。食品加工業者が正常に機能していない資産を装着したタンクを使用する作業指示を行なおうとすると、その指示が別のアクションをトリガして、保守エンジニアに問題の解決を促し、修理作業の指示を送信します。

また、拡張現実(AR)テクノロジの統合も、ユーザのオペレーションとの相互作用を簡略化する要因となります。食品生産業者の保守エンジニアなどのあらゆるユーザが、3Dアニメーションによって視覚化された指示を受信します。

エンジニアはタンクに到着すると、問題が発生している可能性がある資産や、修理に必要な手順といった状況に合わせた指示を確認します。これによって、プロセスを稼動したまま維持できるだけでなく、エラーの可能性も削減できます。

IIoTアプリケーション導入の加速と高度な分析およびARの機能により、個々のシステムの境界がなくなり一体化し、そのためユーザはジョブの革新に専念することが可能になります。

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電気自動車とIIoT

環境に優しい電気自動車は自動車業界の主流になると予測されており、2040年までに世界に新車販売全体の半分が電気自動車になると予測されています。IIoTテクノロジは、自動車メーカが高品質な電気自動車を最小限のリスクで短期間に手頃な価格で生産することを可能にします。

スマート機能やダウンロード式アップデートによって、電気自動車は家庭用電子機器製品にますます似通ったものになっています。このようによりスマートでネットワーク接続された車両には、よりスマートでネットワーク接続された生産アプローチが必要になります。多くの既成の自動車メーカは、すでに接続オペレーションを使用していますが、それは限定された方法またはオペレーションの一部にすぎません。

組織全体にわたるシームレスな接続やデータ共有、およびIIoTテクノロジの導入は、車両生産プロセスの可視性の向上に役立ち、あらゆるレベルの従業員がより適切で素早い意思決定を行なうことを支援します。

例えば、当社はスマートマシンを使用してチームがさらに効率的なプロセスワークフローを作成することを支援し、迅速に停止原因を特定して早期復旧に役立てています。当社はまた、高度な分析ツールを使用して資産データを経時的に監視し、問題がどこで発生するかを会社が予測することに役立て、それによってまず第一に保守チームが問題の発生を予防できるようにしています。

ロックウェル・オートメーションは、最近、カリフォルニア州サンノゼに8,000平方フィートの電気自動車(EV)イノベーションセンター 開設しました。このセンターでは、新しいテクノロジを活用した製造デモンストレーションの実況やハンズオントライアルを提供し、業界の専門家やロックウェル・オートメーションのパートナとの共同作業を展示するイベントを開催しています。

このEVイノベーションセンターでは、拡張現実および仮想現実モデリングを活用し、自動車の新規参入企業や広く認められた自動車メーカに新しいテクノロジや規格を学ぶ環境を提供し、少ないリスクと低コストで電気自動車を迅速に市場に投入できるように支援しています。

バッテリは現在、EVのコストの3分の1を占めています。バッテリコストが下がるにつれて、EVの需要が増加し、新車に駆動電力を供給するために毎年最大4000万個の新しいEV用バッテリが必要となります。EV市場のこの成長は、自動車用バッテリ製造メーカにとって途方もないビジネスチャンスをもたらしますが、それはこのチャンスを活かす準備ができている場合に限ります。

多くの製造メーカではこれまで、企業内やその施設間で実行される異種を含む非接続の情報システムで対応してきましたが、このやり方では、今後はもはや対応できません。今までの少量生産業種は、指数関数的需要曲線によって爆発寸前のところまで来ています。さらに、バッテリ製造メーカは需要に対応するために更地に非常に大規模な生産プラントを構築しようとするため、その構築には何もないところから成長を開始する困難が伴います。

また、企業全体を接続する必要があります。バッテリメーカであるなら、需要に遅れないように事業を成長させ、スマートマニュファクチャリング戦略の鍵となる部分を実現するためにその企業のシステムを自動化する必要があります。
 

IIoTはすべてに行き渡る

自動車メーカや食品飲料メーカ、製薬、バイオテクノロジ、化粧品または個人用品製造メーカなど、どのような業種であっても、IIoTは製品の個人化や安全規格の要件、および追跡要件に対応する手助けをします。IIoTは、私たちの日常生活の質を高め、生産性と収益性の向上を促進する真のゲームチェンジャーなのです。

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