課題
- 異なるシステムに接続することが難しく、基本的なHVACシステムにしか接続できないといった制限。設計とプログラムに関して柔軟性がない。
ソリューション
- Connected Componentsソリューション - 各エア・ハンドリング・ユニット(AHU)温度、圧力、および空気の流れを制御
- FactoryTalk®ソフトウェア - HVAC監視制御向けのFactoryTalk® View SEを備えた集中型SCADAシステム、データ収集とレポートのためのFactoryTalk® Historian & VantagePointによって、手作業を削減
- 電力管理システム - 各生産セルの消費エネルギーをモニタし、使用エネルギーの最適化を支援
結果
- エンジニアリング効率の向上 - 標準化されたコードとアプリケーションによってエンジニアリング時間が短縮し、管理コストが削減
- 規格とコンプライアンスに適合 - EU-GMPに適合したHVACシステムを配備
2007年に設立されたベトナムのQui Long Refrigeration Electrical Engineering Technology Co.は、経験豊富な施工業者です。同社は、暖房、換気、空調(HVAC)システムのコンサルティング、設計、供給、建設、設置に加えて、ライフサイエンス業界、衛生環境、病院施設向けの機械およびエンジニアリングの仕事を請け負っています。
Qui Long社は、一流の高品質の作品を提供することを誇りにしています。しかし、業界のクライアントのニーズはますます複雑になり、多くの場合、厳しい規制の対象となっています。Qui Long社は、これらの変化する要件を満たすために最前線にいる必要があります。
業界特有の課題を評価
Qui Long社とロックウェル・オートメーションは、ライフサイエンス業界で後者が実証された機能を備えているため、協力しました。Qui Long社は、自社内のプロセスを変革するとともに、お客様にも提供できるテクノロジ向けのコネクテッドソリューションの開発にあたり、ロックウェル・オートメーションにサポートを依頼しました。最終的な目的は、コストを削減しつつ、効率を向上させること(市場投入時間の短縮を含む)、リスクを削減すること、そして単一の概要表示でいつでもシステムのステータスを確認できるようにすることでした。
Qui Long社は、従来のダイレクト・デジタル・コントロール(DDC)デバイスを使用するHVACシステムの制限も認識しており、ロックウェル・オートメーションと協力してソリューションを開発する必要がありました。DDCコントローラは設計とプログラムに関して柔軟性がなく、異なるシステムに接続することが難しく、基本的なHVACシステムにしか接続できないなどの制限がありました。さらに、Qui Long社はプログラムの開発をサードパーティに依存していたため、変更が必要になったときに、プロセスはQui Long社のニーズに合うように柔軟でなかったり、迅速に対応できなかったりしました。
さらなる課題は、Qui Long社がライフサイエンス業界のトレンドを経験していたことです。そこでは、企業は、高いレベルのオートメーション制御と情報システムを必要とするより新しく高い規格/コンプライアンス(ヨーロッパまたはFDA)へのアップグレードを検討していました。規制要件はデータの整合性と電子記録の保持にも拡張されるため、Qui Long社はエンドユーザ向けのこれらの要件を満たすのに役立つソリューションを必要としていました。
エンドユーザに恩恵をもたらすコネクテッドソリューション
ロックウェル・オートメーションとQui Long社が議論を重ねた結果、Qui Long社による使いやすく、保守が簡単なエンドユーザ向けに最適化されたサービス提供を支援するソリューションが開発されました。
- Allen-BradleyのConnected Componentsコントローラ& HMIは、柔軟でカスタマイズされたソリューションを提供
- Stratix®スイッチ(5700, 2000)
- ソフトウェア: FactoryTalk® View Site Edition (SE), FactoryTalk® Viewpoint, FactoryTalk® Historian, FactoryTalk® VantagePoint; 以下が含まれる。
- HVAC監視制御向けのFactoryTalk® View SEを備えた集中型のSCADAシステム。SCADAは、マシンやユーティリティからの接続を簡単に可能にする。
- データ収集とレポートのためのFactoryTalk® Historian & FactoryTalk® VantagePointにより、手作業が削減
- 各生産セルの消費エネルギーをモニタし、使用エネルギーの最適化を支援する電力管理システム
- ITソリューションとシームレスに統合するEtherNet/IPネットワーク
ロックウェル・オートメーションのソリューションは単純で柔軟な性質を持っているため、Qui Long社はお客様向けにそれらを開発し最適化できます。例えば、コネクテッドコントローラによって、各エア・ハンドリング・ユニット(AHU)の温度、圧力、および空気の流れを制御して、チラーとリンクし、PowerFlex®ドライブが柔軟な設計と導入を支援します。
FactoryTalk®ソフトウェアプラットフォームを使用することで、Qui Long社とそのエンドユーザは各エリアだけではなくシステム全体の情報ダッシュボードとレポートを見て、監視と制御システムの機能を強化できるようになります。制御室では、オペレータは部屋のパラメータ、AHUのステータス、チラーの動作状態、およびエネルギー使用状況、さらに発生する可能性のあるアラーム、イベントまたは異常な状態を簡単に察知できるため、コストのかかる問題になる前に、あらゆる不規則性に取り組むことができるようになります。さらに、機械とプロセス機器の間の接続性が向上し、他のシステムと簡単に統合できるオープンなプラットフォームとなりました。
Qui Long社に選択されたソフトウェアソリューションは、ライフサイエンス業界のニーズ、特にコンプライアンスとレポート/データ収集の要件を満たすためのすべての機能を備えています。
規格への適合とソリューションに対する評価
Qui Long社にとって、ロックウェル・オートメーションのソリューションを導入することで得られる利点は、ビジネスに価値をもたらすためにより多くのソリューションを活用する旅の始まりを意味します。導入されたソリューションにより、コードとアプリケーションを標準化してエンジニアリング時間を短縮して管理コストを削減し、ロックウェル・オートメーションの統合アーキテクチャとネットワークの利点を活用できます。
Qui Long社は業界の技術的なコンプライアンス要件にも適合し、クライアントは業界を対象とする厳しい規制基準に従ってデータ収集やレポート作成ができます。
Qui Long社のエンドユーザは、新しいソリューションの恩恵を受けています。プロジェクトの市場投入までに要する時間が短縮されるだけでなく、これらのプロジェクトのコストが削減され、手作業によるデータ収集に伴うリスクも削減されます。シームレスなデータ収集とリアルタイム情報を提供する統合されたシステムによって、お客様とQui Long社の両方のリソース利用率が向上し、豊富な診断と履歴データとリアルタイムデータの両方に基づいて意思決定を行なうことができるようになりました。さらに、メンテナンスとスペアパーツのコストが削減されました。
将来を見据えて
このプロジェクトは、すでに成果を出しています。ロックウェル・オートメーションと協力して以来、Qui Long社は、地域で初めての、EU-GMP準拠の製薬工場にHVACシステムを配備できる施工業者になりました。EU-GMP規格を満たすためのこのアップグレードと、Qui Long社からの更新された製品は、この分野での将来のビジネスの強力なケースを作成し、Qui Long社のエンジニアは、オートメーションと制御システムの導入に関する能力を向上させました。
ロックウェル・オートメーションのエンジニアと業界の専門家はQui Long社と緊密に連携して、ベストプラクティスに沿ってコンピテンシを構築し、アプリケーションを開発するエンジニアリングチームをサポートしています。継続的な成功を支援するために、Qui Long社はオートメーションに関連するHRリソースに投資しています。例えば、新しいチームメンバーと専門的なトレーニング、および製品の新しい設計に関する研究開発への投資です。
Qui Long社の取締役であるバー・アイン・チャン(Ba Anh Tran)氏は、次のように述べています。「Qui Long社にとってロックウェル・オートメーションとの連携は、ベトナム政府が推進するインダストリ4.0やコネクテッドエンタープライズの方針にも合致した、長期にわたる事業提携の始まりにすぎません。」
「両社間のこの長期的なビジネスパートナシップにより、新しいソリューションの開発、イノベーション、最適化が可能になります。」さらに、次のように付け加えました。「これにより、最先端のオートメーションおよび情報ソリューションと結びつけたライフサイエンス業界向けのHVACソリューション提供を主導するという究極の目標を掲げ、クライアントの新旧を問わず、当社がターゲットする業界に対して強力な価値を提案することができます。」
公開 2019/02/11