このブログ記事は、ケズラー社とロックウェル･オートメーションが最近行なったフォレスター･コンサルティングのソートリーダシップ調査「トレーサビリティの改善によるブランドロイヤリティの向上とROIの創出」から得られた洞察を紹介するシリーズの第4回目です。
トレーサビリティは、次のサプライチェーン革命の重要な要素であり、効率性、レジリエンス(回復力)、競争力を強化するものです。しかし、どのような技術の採用や導入においても、企業には懸念があります。ロックウェル･オートメーションが委託し、フォレスター･コンサルティングが実施した最近の調査によると、こうした懸念は、既存のシステムや機器との統合の複雑さ(調査回答者の43%)から、十分な標準化の欠如(36%)など、さまざまな問題点を含んでいます。
トレーサビリティが製品のデジタル化を促進する重要な手段であるというコンセンサスが得られても、「世界をより安全で透明な場所にする」という漠然とした言葉では、採用の説得力に欠けるのです。フォレスター･コンサルティングの調査では、新技術を採用する際の障壁の第1位として、新技術のコストが挙げられています。
新たな規制の要求が導入されれば、企業はトレーサビリティ技術を導入する必要があります。さらに、重要性が増している他の問題(例えば、ESG、サステナビリティ(持続可能性)、カスタマエンゲージメントなど)を考慮すると、企業がトレーサビリティソリューションへの投資を余儀なくされることは明らかである。実際、多くの企業は、シリアル化とトレーサビリティへのアプローチに投資し、最適化しないわけにはいかなくなることでしょう。
目先のコストを超えた長期的な価値: トレーサビリティ技術への投資がもたらすROI
トレーサビリティソリューションには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか? という質問をするのがよいでしょう。「グレーマーケットでの横流しによってどれだけの収益が失われているか?」「より良いデータにアクセスすることで、製品の市場性を向上させることができれば、どれだけの利益を得ることができるでしょうか?」「サプライチェーンを通じた製品の旅を最適化できれば、どれだけ節約できるでしょうか?」「どのような規制上の罰金を回避することができるでしょうか?」答えはさまざまでしょう。ROIの向上を支援するツールとしてのトレーサビリティは、技術そのものと、ソリューションが収集し提供するデータの価値に大きく依存します。しかし、ほとんどすべての場合において、企業はトレーサビリティの利点に勝るコストを得ることができるのです。
フォレスターコンサルティングの委託調査による模倣品･グレーマーケット転用の一例では、調査回答者の47%が、模倣品により毎年売上高の11%から60%という驚異的な損失を被っており、87%がグレーマーケット転用が問題であると回答していることが示されています。しかし、ROIが明確でないため、45％の回答者がこれらの課題を軽減できるトレーサビリティとシリアル化の導入を阻んでいます。
トレーサビリティの取り組みを最適化することで、ブランドを偽造や横流しから守るとともに、サプライチェーンや市場を理解するための貴重なデータを提供することができます。これは、より良い製品計画や流通から顧客満足度の向上まで、あらゆることにつながります。これらすべては、より良いブランドロイヤリティとトレーサビリティへの長期的な投資収益率につながります。
実際、フォレスターの調査では、多くの回答者が、自社ですでに何らかの形でシリアライゼーションを導入していると答えています。そのうちの半数近く(45%)は、シリアル化に直接関連して、売上収入が31%以上増加したと報告しています。シリアル化が売上ROIに影響を与えなかったと言えるのは、わずか1%でした(3％は、これを事実として述べることができるアトリビューション構造を有していませんでした)。
トレーサビリティは、企業が満たさなければならない単なる規制上のチェックボックスではありません。そのため、真のデジタルトランスフォーメーションの取り組みとしてトレーサビリティに投資することで、より大きな投資収益率を実現することができます。トレーサビリティのケースを作るには、トレーサビリティソリューションの現在のコストと予測されるコストだけでなく、アイデアを売り込むことが必要です。より良いデータで武装することで、ROIのトップドライバーに焦点を当て、トレーサビリティソリューションと連携して、技術コストを削減するか、少なくとも安定させながら、関連する利益の一部を達成することが可能になります。ひいては、最大限のROIを成功裏に実現するための最大の要素の1つは、会社がトレーサビリティ技術の可能性を理解し、受け入れるようにすることなのです。
公開 2022年8月26日
