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NIS2、CRA、機械規則と機械装置メーカ

これらの規制が機械装置メーカの市場をどのように変革しているのか、そして、規制対応を「中核的な能力」と位置づける企業がなぜ競争をリードできるのかを解説します。

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factory interior as industrial background

前回のブログでは、コンプライアンスや規制が急速に変化している現状において、機械装置メーカ(OEM)がサイバーセキュリティを軽視することは許されないと論じました。こうした変化に対応しなければ、長期的には企業の評判や財務状況、またはその両方に悪影響が及ぶことになります。

そこで当然ながら、次のような疑問が生じます。では、機械装置メーカは具体的にどのコンプライアンスフレームワークや規制を採用すべきなのでしょうか?

注目すべき規制は、NIS2、サイバーレジリエンス法(CRA)、そして機械規則の3つです。世界のどの地域で事業を展開していても、いずれこれらの規制の影響を受け、遵守が求められる可能性は極めて高いと言えます。

本ブログでは、これらの枠組みへの理解を深めていただくとともに、以下の点について解説します。

  • NIS2、サイバーレジリエンス法(CRA)、機械規則とは何か(専門用語を避け、分かりやすく説明)
  • 機械装置メーカがどのように対応を開始すべきか

2種類の機械装置メーカ

これまでの経験から、機械装置メーカは大きく2つのグループに分かれつつあることが見て取れます。

  • The aware OEMs (状況把握・様子見グループ): 規制の存在は認識しているものの、規制の運用状況や法的な解釈がどうなるかを見極めようとしているグループ
  • The all-in OEMs (積極的適応グループ): 規制を積極的に受け入れ、それを軸とした企業文化を醸成し、規制を将来の発展の足掛かりにしようとしているグループ
OEM向けSecureOTソリューション
OEM向けSecureOTソリューション
OEM向けSecureOTソリューション
SecureOTのサイバーセキュリティ、適合対応準備、およびライフサイクルリスクサービスを使用して、OEMがCRAおよび機械規則の要件に備えられるよう支援します。
ご覧ください

NIS2、サイバーレジリエンス法、機械規則: 実務的な観点から

理解しておくべき規制が3つあります。それぞれの位置づけや相互関係を把握しておくと有益です。

規制名称 範囲 対象者 説明
NIS2 最も広範な適用範囲 「不可欠」または「重要」な事業体として挙げられるインフラ事業者*

不可欠: エネルギー、銀行、医療(極めて重要)

重要: 廃棄物処理、化学、製造

重要インフラを運用する事業者に対するセキュリティの基本要件
CRA (サイバーレジリエンス法) NIS2の考え方をサプライチェーンにまで拡大 上記の施設を確保・保護する機械メーカ 機械装置メーカを対象とし、当該施設に導入される製品には、設計段階および実装段階において「セキュリティ・バイ・デザイン」が組み込まれている必要があることを強調しています。
機械規制 最も狭く、最も具体的 フロアに設置された物理的な機器 機器の安全な稼働に影響を及ぼし得るサイバーセキュリティリスクを含め、機械の安全に焦点を当てています。

*「不可欠な事業体」と「重要な事業体」は、サイバーセキュリティリスク管理に関する中核的な統制策やインシデント報告の期限を共有していますが、それらに対する規制のあり方は大きく異なります。

NIS2は、重要インフラ施設が安全であることを求めています。CRA (サイバーレジリエンス法)はその要件を、それらの施設に導入される製品やコンポーネントにまで広げて適用します。そして機械規則は、機器そのものの安全性確保に焦点を当てています。機械装置メーカにとって、特に注力すべき重要な要素となるのがCRAです。

CRAは機械装置メーカに何を求めているのでしょうか?

CRAは、設計、導入、運用、保守というあらゆる段階においてセキュリティを確保することを求めています。その本質を突き詰めると、3つの問いに集約されます。それらに誠実に答えることで、自社の現状を把握することができます。
 

質問1: あなたの組織は安全と言えるでしょうか?

単に製品だけでなく、組織そのものの話です。市場へのサービス提供やサポート、そして業務運営において、自ら胸を張って保証できる水準を維持できているでしょうか?

これを考える上で最も分かりやすい視点は、「サイバーセキュリティの文化」です。15〜20年前に製造現場に安全の文化が定着したように、サイバーセキュリティもまた、あなたの組織に根付いているでしょうか?
 

質問2: 出荷する製品はセキュア・バイ・デザインとセキュア・バイ・デフォルトが確保されていますか?

これらは、正確に理解しておくべき業界用語です。機械装置メーカには、設計・開発の全工程を通じてサイバーセキュリティが考慮されていたことを実証し、CEマークの取得やIEC 62443への適合を実現することが求められます。

セキュア・バイ・デザイン = 機械の構築方法

これには、機械の設計方法や接続方法、さらには物理的またはリモートでの接続方法などが含まれます。

セキュア・バイ・デフォルト = 出荷時の状態

つまり、不要な要素や「フック」(拡張・介入用の接点)を極力排除した構成になっているということです。システムは無防備な状態で放置され、後続の工程で誰かにセキュリティを固めてもらうのを待っているわけではありません。
 

質問3: 継続的なサポートやアップデートは提供可能ですか?

これは必須要件ですが、機械装置メーカが最も過小評価しがちな点でもあります。

出荷時点では製品にウイルスが含まれていないことを確認できたとしても、時間の経過とともに新たに発生する脆弱性をどのように追跡していくのでしょうか? 脆弱性は通常、攻撃者がその機器を入手し、侵入経路を探る過程で明らかになるものです。

つまり、常に警戒を怠らない体制(常時稼働の姿勢)が求められるということです。自社が販売した製品を把握し、脅威インテリジェンスや脆弱性レポートから得られる情報を理解しておく必要があります。そして、販売先の顧客を支援する責任も生じます。そうでなければ、さらなる問題を引き起こしかねません。

多くの機械装置メーカが見落としている計算

質問3に関して、もう1つ注目すべき点があります。それは、この義務が製品のライフサイクル全体、または生産期間中であれば最長10年間にわたって、その機械に付随し続けるという点です。

仮の例を挙げてみましょう。ある機械装置メーカが年間100台の機械を出荷しているとします。10年が経過する頃には、義務の対象となる機械は合計1,000台に達します。そして、各機械には複数のデバイスが搭載されています。仮に1台当たり100個のデバイスが搭載されているとしましょう。つまり、複数の拠点に出荷された10万個以上のエンドポイント(デバイス)に関連する脆弱性や製品アップデートを追跡・管理しなければならないということです。しかも、それらすべては、バージョンや脆弱性の状況を把握し、追跡し、報告することが求められる1,000台の機械の中に含まれているのです。

次に、人件費を考慮する必要があります。これは事業規模に応じて増大するものであり、決して無視できないコストです。この対応に追われている欧州の機械装置メーカからは、追跡・管理の負担が極めて大きいという声が聞かれます。一方で、簡素化の手法を確立した企業では、大幅な工数削減を実現しています。

機械装置メーカが直面する選択

こうした業務負荷は、難しい決断を迫るものです。現状をそのまま受け入れ、製品・機能・サービスの中核的な能力の一部として組み込むか、あるいは単なる「チェックボックスを埋めるだけの作業」として厄介払いし、やり過ごすか。

問題が生じるのは、後者の道を選んだ場合です。断言しますが、CRA (サイバーレジリエンス法)は機械装置メーカの市場のあり方を一変させるでしょう。問われているのは、その変化のどちら側に身を置くかということです。

北米の機械装置メーカへの警告

北米の機械装置メーカや機械メーカにとって、CRA (サイバーレジリエンス法)を「欧州の問題」として片付けてしまいたくなる気持ちは理解できます。しかし、その動向を注視することが重要です。

それは、欧州市場で製品を販売している場合、またはそうした販売を行っている顧客を抱えている場合、この規制要件は発注書を通じて貴社にも及ぶことになるからです。

北米を主な拠点としている場合、連邦政府がすでに産業界や政府部門全体でサイバーセキュリティ要件の強化に着手している点に注目すべきです。これは、今後こうした要件が他の業界にも拡大していくことを示唆しています。具体的な導入時期がいつになるかはさておき、求められる説明責任や責任の範囲が縮小する方向に向かうことはないでしょう。

新たなコンプライアンス要件や規制が導入される中、機械装置メーカはいかにして差別化を図るべきでしょうか?

その鍵となるのがライフサイクルです。機械の脆弱性を監視し、適切なパッチをお客様に提供することが重要となります。こうした業務は自動的に監視することが可能ですし、必要なパッチを生成することもできます。

そのメリットは、単なるリスク低減にとどまりません。こうした可視化により、各機械の経時的な状態を、貴社と顧客の双方が把握できるようになります。導入から5年や10年が経過した時点で、どの機械を交換またはアップグレードすべきかが、客観的なデータ(証拠)に基づいて明確になるのです。

これは機械装置メーカにとって、新たなサービス事業の展開や成長の機会をもたらすものでもあります。また、自社の主張を裏付ける追跡データや記録を提示できない競合他社と比較して、貴社がより「安全で確実な選択肢」として選ばれることにもつながります。

取り組みの始め方

規制やコンプライアンスの枠組みは、非常に複雑で圧倒されそうになるものです。そこで、取り組みを始める際に心に留めておくべき4つのポイントをご紹介します。

  1. 規制の内容と、それが自社にどのような影響を及ぼすかを理解する: これには時間がかかりますが、評価を活用することで、その期間を短縮できます。 
  2. 完了の定義を明確にする: 最終的な状態(ゴール)はどのようなものか、チェックリストには何が含まれるか。目標がなければ、現状とのギャップを測定することはできません。
  3. 要件に照らして自社の状況を測定する: ギャップ分析や機器の対応状況の確認、あるいは自社製品が真にセキュア・バイ・デザインに基づいているかを客観的に検証することによって、これを行なうことができます。
  4. 機械に組み込まれている製品を評価する: 選定した構成部品が規制に適合しているかどうかを確認し、変更が必要な箇所を特定します。
この新たな状況に、単独で立ち向かう必要はありません。

適切な教育、サポート、専門知識、そしてソリューションを通じて、私たちが皆様を支援いたします。

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公開 2026年10月12日

トピック: Accelerate Digital Transformation Build Resilience Solutions for OEMs サイバーセキュリティ デジタルトランスフォーメーション 自動車&タイヤ 化学薬品 食品&飲料 日用品およびパーソナルケア インフラ基盤 ライフサイエンス 石油&ガス パルプおよび製紙

リック・カウン
リック・カウン
Global Director, Cybersecurity Services Sales, ロックウェル・オートメーション
リックは、石油・ガス、精製、鉱業、電力、製造などの産業のクライアント向けにOTセキュリティプログラムの設計および実装を20年以上手掛けてきました。リックは常に、拡張性があり、コスト効率が高く、管理しやすいソリューションの構築を視野に入れて取り組んでいます。
連絡先:
ロバート・スクラック
ロバート・スクラック
Industry Sales Director, Discrete, ロックウェル・オートメーション
ロブ・スクラックは、ロックウェル・オートメーションの半導体およびハイテク産業担当北米Industry Directorです。26年以上の業界経験を持ち、革新的かつ効果的なソリューションを通じてクライアントの目標達成を支援することに情熱を注いでいます。
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