Integrated Architecture (統合アーキテクチャ)で病院のエネルギー使用量を削減

統合アーキテクチャで病院のエネルギー使用量を削減

課題

  • ヨーク病院は、エネルギーの管理と節減の必要性を抱えており、新技術に対して行なった投資を今後15年間にわたる省エネで賄う必要があった。

ソリューション

結果

  • 業界でも実績のある堅牢なCOTSハードウェア上に配備された、拡張性の高いオープンシステム
  • 早くも予測されている大幅な節約
  • 「ロックウェル・オートメーションによる突出したサポート」との評
  • 25年というライフサイクルを通じてごく自然に順応・進化が期待されるオープンソリューション
  • セキュアかつ制御可能なブラウザまたはアプリからのリモートアクセス

バイタル・エフィシエンシー社が、旧式のエネルギー制御ソリューションにかわってAllen-Bradleyによる最新のIntegrated Architecture (統合アーキテクチャ)を導入し、今後15年間にわたる継続的な省エネルギーに着手

背景

ヨーク教育病院NHS財団トラストは1960年代に構想、1970年代に建設されており、エネルギーのインフラはすでに寿命に近付いています。これはトラストにとって、病院における熱や電力の生成・消費方法を大幅に改善するチャンスです。

8000人を超えるスタッフを擁するトラストは年間70万人以上の治療にあたっており、ちょっとした町と同程度のエネルギー需要を抱えています。実際、2012~13年のガス・電気代は合計245万ポンド、CO2排出量は1万3586トンに上りました。

そこで競争入札実施の末、低炭素のエネルギーソリューションの提供元としてバイタル・エナジー・グループを選びました。同グループはいくつかの事業会社を通じて二酸化炭素排出量の削減と金銭的な節約を保証します。

  • バイタル・エナジー・ユーティリティ社:熱や電力、冷却エネルギーの局所的な生成と供給、分配に向け、低炭素ベースのエネルギーソリューションを設計および構築、運用
  • バイタル・ソリューションズ社:病院や大学、大型商業・工業施設向けの長期的な契約型エネルギー管理(EPC)を開発・構築
  • バイタル・エフィシエンシー社:エネルギーおよび二酸化炭素削減ソリューションを設計・提供(エネルギー消費の低減に向け、ソリューションを査定および管理、制御、実装)

バイタル・エフィシエンシー社は、病院のエネルギー需要を低減するという任務を負いました。ただでさえ厳しいこのプロジェクトは、調達段階からわずか20か月で稼働にいたることを求められたため、一層困難を極めました。新しいインフラ基盤によって節約された資金は第一線の臨床診療に投資できるため、結果的にサービスを改善し、ヨークシャー地方の人々に明白な実利をもたらすことができます。

バイタル・エフィシエンシー社はロックウェル・オートメーションとの協力の下、オーダーメードのエネルギー管理および制御ソリューションを開発しました。これは、NHS社におけるエネルギー消費量の測定・管理をサポートすると同時に、施設状況へのリアルタイムのリモートアクセスをバイタル・エナジー・グループに提供し、継続的な管理や調整、モニタを可能にするものです。

バイタル・エナジー・ユーティリティ社がプロジェクト全体の遂行を担い、バイタル・エフィシエンシー社が完全なSCADAソリューションを提供

課題

ヨークにおけるこのプロジェクトの調達・遂行は、CEF (カーボン&エナジーファンド)と連携した形で行なわれました。この基金は、NHS社をはじめとする公共部門における複雑なエネルギーのインフラのアップグレードを円滑化・管理する目的で創設された調達フレームワークです。CO2削減ソリューションに投じられた資金は、節約の成功によってもたらされたものです。バイタル・グループは15年間の運用・保守契約を結んでおり、これによって毎年の継続的な節約が保証されます。同社は可能な場合には保証したレベルを上回る節約に取り組み、その成果はNHS社とバイタル・エナジー・グループの間で折半されます。

バイタル・エナジー・ユーティリティ社がプロジェクト全体の遂行を担い、バイタル・エフィシエンシー社が完全なSCADAソリューションならびに運用の原理と理念、発電設備向けに開発された最適化の手法を提供しました。制御ソリューションは、以下の2つで構成されます。

  • 専門サプライパートナが提供するBMS – 下流のエネルギー資産を管理・最適化
  • バイタル・エフィシエンシー社が提供するSCADAシステム – Allen-Bradleyのアーキテクチャを使用し、主要エネルギーセンタ(ボイラー室)およびこれに付随する主要機械室2室を管理・最適化

バイタル・エフィシエンシー社の技術ディレクタであるケネス・クンツ氏は次のように説明しています。「15年契約ですから、困難な環境で機能し、安定性を保てる堅牢な産業用システムが必要でした。だからこそ、実績のあるオープンな産業用システムを基盤として当社のSCADAシステムを使い、ロックウェル・オートメーションのCompactLogix PACを中枢に据えることにしたのです。」

ソリューション

既存のエネルギーシステムにはガス焚きの蒸気ボイラーが使われており、その制御を担っていたのは現在サポート対象外となっている旧式の制御アーキテクチャでした。NHS社は、バイタル・エフィシエンシー社が提供するECS (エネルギー制御ソリューション) (通常SCADAと呼ばれる)を使用し、Allen-BradleyのIntegrated Architecture (統合アーキテクチャ)製品をその主な基盤とすることを選択しました。

NHS社はこの新システムを初めて導入するクライアントであり、全面的なアップグレードと新しい制御基盤の配備を必要としていました。クンツ氏は次のように説明しています。「我々は、ECSシステムを構成するバイタル・エナジー・グループ独自のさまざまなモジュールを開発しました。当社のソリューションは非常にオープンで、典型的なBMSシステムがもっとブラックボックス的に閉ざされているのとは対照的です。一般的なBMSシステムはアラームやモニタ機能を提供するには十分ですが、エネルギーセンタを考慮して最適化されていることはあまりありません。我々はこれまで市場になかった新しいモジュールを開発して独自性を高めたのです。」

バイタル・エフィシエンシー社はコーディングを社内で実施し、MBusプロトコル(通信)用のソフトウェアの設計・作成をロックウェル・オートメーションとの連携の下で行ないました。標準的な産業用パワーメータはMBus通信を使用していますが、当時これらのパワーメータをCompactLogix PACに統合することは不可能でした。そこで、特定のパワーメータを制御システム全体に実装できるよう、ロックウェル・オートメーションのグローバルOEMテクニカルコンサルタント(GOTC)とクンツ氏が新しいソフトウェアを作成しました。

クンツ氏はこう語ります。「MBusは標準ではありませんが、プロソフト社(ロックウェル・オートメーションのEncompassパートナ)が提供するLogixファミリー製品のなかにシリアル通信モジュールが見つかったため、MBusプロトコルで通信を行なうASCIIドライバを開発することができました。ヒートメータが使用するのは基本的にはMBusのみですが、最近ではModbusを使用できるヒートメータが増え続けています。ヨークのプロジェクトではMBusを使いましたが、将来的にはModbus RTU/TCP-IPを使用する予定です。」

バイタル・エフィシエンシー社のECSシステムは、複数のI/OポイントとStratix 5700™管理型イーサネットスイッチを使用するファイバーEtherNet/IP™ネットワーク上で動作するAllen-Bradley®のCompactLogix™ L33ERおよびL24ERプログラマブル・オートメーション・コントローラによって機能します。

バイタル・エナジー ・グループが独自のソリューションを提供し、NHS社のシステムへのリモートアクセスを実現 (バックアクセスまたはスマートフォンのアプリ経由)

「これらのさまざまなインターフェイスが必要となるのは、エネルギーセンタの周囲にガスや蒸気、電力、熱など所定の項目を測定する多数のメータがあるためです」と、クンツ氏は語ります。「これらのデータポイントを使って生データをまとめたCSVファイルを毎日作成し、夜中にブラックバーンにある本社に送信してクラウドに保存することができます。30分おきに収集したデータは専門ソフトウェアに入力され、これを見て我々は各エリアにおける削減状況を確認し、その数値を目標のセットポイントと比較できるというわけです。」

さらに質が高く統一性のあるデータの収集を目指し、クンツ氏は昨年、バイタル社のメータの標準を変更しました。「すべて統一されたおかげで、日常的な操作がはるかに簡単になりました。データ収集はSQLをベースとしていますが、これは他の多くのシステムともインターフェイスで接続できる柔軟なソリューションです。また、システムは優れた標準に基づいて構築されており、長年にわたって市場に残る製品を使用しているという強みがあります。」

「CompactLogix PACの上位には一連のフルサーバが配備されており、我々が設計・実装するシステム全体が堅牢で安定性に優れ、長期的に使用可能なものとなるよう徹底するうえで役立っています」と、クンツ氏は続けます。「ECSスーパーバイザサーバがグラフィックとSQLソリューションを担う傍らで、ECSレポートサーバがデータの生成を行ない、この両方が1つの画面、各1台のキーボードとマウスで制御されます。また、これらのサーバには、いずれかの機能が停止したり、保守作業のため1台をシャットダウンする必要性が生じた場合に備え、フェイルセーフ機能が装備されています。」

30分おきに収集したパフォーマンスデータは専門ソフトウェアに入力され、これを見てオペレータが各エリアにおける削減状況を確認し、その数値を目標のセットポイントと比較

クンツ氏は、バイタル・エナジー ・グループが一般的なアプローチとは異なる独自のソリューションを提供していると自信を持っています。「NHS社のシステムには、バックアクセスまたはスマートフォンのアプリ経由という2通りの方法でリモートアクセスが可能です。バックアクセスは固定IPを使ってブラウザから行ない、これによってNHS社のECSスーパーバイザに接続できます。すべては暗号化されており、さまざまなレベルのアクセスが可能なほか、オペレータインターフェイスが装備されているため、当社のエンジニアがセットポイントやアラームなどのさまざまな要素を変更することもできます。アプリを通じたアクセスは主に当社のエンジニア向けですが、外部への公開も可能です。実際、当社のオープン・ソース・アプリは人気が高く、AppleまたはAndroidデバイスに無料でダウンロードできます。」

バイタル・エフィシエンシー社は、さらにアラーム管理および記録用のシステムも開発しました。これをバイタル社の人員がモニタし、同社のエンジニアがオン・コール・システムの管理に使用します。このシステムには、産業用モバイルモデムとSIMカード(アンテナ付き)が採用されています。Allen-BradleyのPACでアラームが生成されるたびに、その旨がパネル上で点滅するほかECSスーパーバイザサーバにも表示され、当直のエンジニアにSMSおよび電話、電子メールで通知が送信されます。これを経てバイタル・エナジー社またはNHS社がどのような措置をとるべきかを判断し、問題の深刻度に応じて優先順位を決定します。

「ようやくECSソリューションが実装・設置され、これまでよりもずっと幅広いプロジェクトやアプリケーションを扱う準備が目に見えて整いました。このようなソリューションは病院に限らず、あらゆる大組織にとってプラスになるでしょう」と、クンツ氏は目を輝かせます。「工業集積地域に目を向ける日も遠くありません。当社のシステムは柔軟性に優れており、多様な用途に十分対応できるのですから。」

結果

NHS社のエネルギーマネージャであるブライアン・ゴールディング氏は次のように述べています。「我々がバイタル社に期待したのは、当社の根源的な目標の達成に対するサポートでした。その目標とはすなわち、二酸化炭素排出量の削減とエネルギー消費量の低減、電力のレジリエンスの向上、そしてプロジェクトの成果の今後15年間にわたる継続です。」

「ゴールディングさんは案の定、当社のソリューションに感銘を受けておられます」と、クンツ氏は語ります。「実装・設置は事前に合意した期限内に完了し、1年間の運用を経て問題は一切起きていません。当初の設計時に想定した通りの制御と省エネが実現しています。システムは今後も継続的に改善されていきますし、Allen-BradleyのIntegrated Architecture (統合アーキテクチャ)の優れた柔軟性と拡張性をもってすれば、ヨークでのプロジェクトで実証された通り、既存のシステム上にも簡単に配備できます。」

クンツ氏はさらにこう続けます。「品質は重要な要素であり、配備する機器は信頼できるものでなければなりません。そのためには高性能の素材を使った堅牢なソリューションが必要です。当社は携わるすべてのプロジェクトで高品質を提供することにこだわりを持っていますから、質の高い成果を得るためにも、質の高いインプットを行なう必要があるのです。」

クンツ氏は次のように締めくくっています。「英国で受けたロックウェル・オートメーションのサポートは素晴らしいものでした。目標達成と成功の実現には、適切なチームのサポートを受け、サプライヤからの適切なインプットを得ることが不可欠です。ロックウェル・オートメーションは当社チームと見事に団結して取り組んでくれました。」

ここで紹介した成果は、バイタル・エナジー・グループおよびヨーク教育病院NHS財団トラストでロックウェル・オートメーション製品およびサービスをその他の製品と併用した結果です。実際の成果は事例ごとに異なる場合があります。

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