バイオマスプラントがブリティッシュコロンビア大学の目標達成に貢献

大学のバイオマスプラントが排出量を削減

課題

  • 温室効果ガス排出の削減に向けて尽力していたブリティッシュコロンビア大学(UBC)。ターゲットとする排出源の1つはセントラル・ヒーティング・プラント

ソリューション

結果

  • 温室効果ガス排出量を年間6,000トン削減

背景
ブリティッシュコロンビア大学バンクーバー校はキャンパス自体が1つの都市を形成しています。5万人以上の学生や教員陣、研修医が1,000エーカの広大なキャンパスで学び、生活し、働いています。2012年まで、同校は天然ガスを燃料とするセントラル・ヒーティング・プラントをキャンパスの暖房に利用しており、配電網用の電力はBCハイドロ社から購入していました。サステナビリティのリーダとして温室効果ガス排出量削減に向け取り組んでおり、2009年には、再生可能燃料で稼働するキャンパスでのコジェネレーション(CHP)プラントの設計および建設に乗り出しました。

課題
ブリティッシュコロンビア大学(UBC)は、GHG排出量削減に向けた取組みを自信を持って率先しています。2007年、同キャンパスは京都議定書で決められた削減目標を達成。GHG排出量の一層の削減に向けた果敢な目標を設定するため、同年には気候変動行動計画を策定しました。この計画の下で、UBCは現行の排出量を2007年~2015年の間に3分の1まで減らすことを確約。2050年までに、カーボンニュートラルの実現を目指しています。これらの課題に加え、UBCでは在籍者数や研究活動の増加によるキャンパスの大幅な規模拡大が見込まれていました。

この増加に対応すべく同校が計画したのがおよそ数十万平方メートルにも及ぶ建物の増設で、これらすべてに熱と電力が必要となります。UBCが目指したのは独自のGHG排出量削減だけではなく、コミュニティが採用できる革新的な再生可能エネルギー技術の中心となることでした。ブリティッシュコロンビア州では、2007年7月以降、大学のような公的機関には州炭素税が課税されています。「コミュニティとして、私たちはサステナビリティの真のリーダを目指していました。エネルギー使用やGHG排出量を私たち自身が削減できなければ、周囲に期待することはできません」と、同校の戦略イニシアチブ部門のディレクタを務めるブレント・サウダー氏は述べています。同氏は次のように続けました。「また、GHG削減に向けた積極的なコミットメントを活用して、コミュニティ内の革新や新たな新技術の促進も図りたいと考えていたんです。」

ソリューション
排出量削減に向けた最初のステップとして、GHGの排出源となる建物や技術を特定する必要がありました。そこでUBCは、GHGの全排出についてキャンパス規模の調査を実施しました。この結果、唯一かつ最大の排出ポイントは、ラボや教室棟、教室、住居施設に熱を供給するキャンパスのセントラル・ヒーティング・プラントであることが判明しました。大学の指導者陣は、再生可能なバイオマス燃料を使ったバイオマスシステムを補充して建物のガス燃焼システムを拡大し、キャンパスの暖房を行なうことを決定しました。

早速、キャンパス独自のエネルギー要件や、都市型キャンパスで再生可能なエネルギーシステムを提供する方法を理解するエンジン・システム・サプライヤの探索が始まりました。その結果辿り着いたのが、バンクーバーを拠点とする高度ガス化システムの開発メーカ兼サプライヤで、バイオマスのガス化プロジェクトにおいてカナダやアメリカで高い実績を誇るネクステラ・システムズ社でした。ネクステラ社は多大な技術的専門知識の提供だけにとどまらず、UBCと提携してカナダやブリティッシュコロンビアの政府機関や民間組織から同プロジェクトへの資金確保にも取り組みました。

ネクステラ社は、クリーンな木くず(パレットや建設廃材など)や木材製造の残留物といった木質系バイオマスで稼働するCHP施設を設計、開発、設置しました。

ネクステラ社のコジェネレーションシステムは受賞歴を誇るマスティンバーの建物内に導入されました。ネクステラ社のバイオマスガス化システムはバイオマスを合成ガスに変換します。木質系バイオマスが1日に2~3回トラックで施設へと運ばれました。大き過ぎたり木質でない材料はすべて、スクリーンとマグネットを統合したシステムで自動的に除去します。バイオマスが1台のガス化装置でクリーンで可燃性の合成ガスへと変換されていきました。

UBCに新設されたバイオエネルギー研究デモ施設(BRDF)は、ネクステラ社独自の合成ガス浄化技術を融合した同社専有のガス化システムを北米で初めて採用したCHPシステムです。BRDFは内燃機関の稼働が可能なエンジン並みの合成ガスを生成し、熱と電力の両方を生み出します。

同システムには、工業用のサーマルモードとデモCHPモードの2つの主要な動作モードがあります。サーマルモードでは酸化剤が合成ガスを燃焼し、高温煙道ガスがボイラを通って蒸気を生成します。この蒸気を使って大学の既存の配電系統からキャンパスの建物を暖房します。

デモモードでは、不純物の除去を合成ガスに条件付けた後、冷却とフィルタリングを実施して熱と電力を生成します。合成ガスはその後、発電機を稼働する高性能な内燃機関に注入され、既存の送電網からUBCキャンパス全体に分配する電力が生成されます。

同システムはエンジンの熱と排気も回収し、さらに多くの蒸気をキャンパスの暖房用に生成します。

プロセスの制御はプロセス自体と同様に重要です。このシステムの制御を司るのが2台のAllen-Bradley®のControlLogix®プログラマブル・オートメーション・コントローラ(PAC)でした。FactoryTalk® View Machine Edition (ME)とFactoryTalk View Site Edition (SE) HMIソフトウェアを使えば稼働をモニタできるため、施設オペレータはシステム上または機械レベルでの問題を事前に修正できます。また、FactoryTalk Historianソフトウェアはネクステラ社のサーバに施設データをレポートするため、同社は施設の稼働をリアルタイムでサポートできます。

コントローラの統合プラットフォームと単一プログラミング環境が実現できれば、現場のオペレータは管理する必要のあるスペアパーツを減らすことが可能です。プラットフォームの運用を厳格に制御することで、システムは要求された精度でバイオマスを処理しながら、大学の排出量削減目標も達成することができます。

「ロックウェル・オートメーションの技術が特長とする相互の接続性と広範な受容性により、実に効率的にソリューションを導入できました」と、 ネクステラ社の電気・制御マネージャを務めるクマール・ユット氏が述べています。同氏はさらにこう続けます。「これでプラットフォームごとにプログラムを変換するかわりに、CHPシステムといった当社の主なソリューションの改善にリソースを注ぐことができます。」

またプラットフォームの開放性により、EtherNet/IP™ネットワークを介したGEエンジンとの統合も容易になり、Allen-BradleyのPowerFlex® 40とPowerFlex 700 ACドライバに接続された3台のAllen-BradleyのCENTERLINE® 2100モータ・コントロール・センタ(MCC)が、プラント全体のモータ制御を実現しました。

結果
運用を開始した2012年9月以降、BRDFは同キャンパスの年間蒸気要件の平均12%を達成してきました。同システムは、蒸気の生成に利用される化石燃料を置き換えることによってGHG排出量の削減に成功したほか、大気放出量は許容レベル、あるいはそれを大きく下回る水準を一貫して維持しています。運用初年度、施設は11万5,000MMBtu以上の天然ガスを置換し、GHG排出量を年間6,000トンも削減できました。これは車1,250台分のGHG排出量に相当します。オペレータがシステムをもっと簡単に使いこなせるようになれば、この数値はさらに上昇していくことが予想されます。

EtherNet/IPはODVAの商標です。今日、BRDFは「Campus as a Living Laboratory (キャンパスは生きた実験室)」というUBCのイニシアチブの成功の一助を担っています。施設の研究ラボでは、独自の代替エネルギー源の開発に向けて学生と教授陣がさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。プラントへの視察者数はとどまることがなく、クリーンでサステナブルな新たな発電の形について知ろうと最初の2年間で1,000人近い人が見学に訪れています。

UBCとネクステラ社は、技術のさらなる前進に向け今後も引き続き取り組んでいく予定です。クリーンな合成ガスを高度なバイオ燃料や再生可能な水素、その他の製品に変換させる分野がその可能性として考えられます。

ここで紹介した成果は、ブリティッシュコロンビア大学でロックウェル・オートメーション製品およびサービスをその他の製品と併用した結果です。実際の成果は事例ごとに異なる場合があります。

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