産業用オートメーションとデジタルトランスフォーメーションのグローバルリーダであるロックウェル・オートメーションの日本法人、ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役社長: 矢田 智巳、以下「ロックウェル・オートメーション」)は、日本を含め製造業が盛んな世界17カ国1,560人の意思決定者を対象に実施した「第11回スマートマニュファクチャリング報告書」より、日本市場に関する調査結果を発表しました。
2026年の調査では、グローバル全体で「試験段階から大規模展開へ」という転換点が進んでいることが明らかになりました。日本においては、スマートマニュファクチャリング技術や人工知能(AI)に対する理解・期待・投資意欲はいずれも世界トップクラスである一方、人材・組織変革・合議型の意思決定構造が、スケール展開の主要なボトルネックとなっています。
「戦略的な方向性は明確である一方で、真の課題は、技術革新のスピードに合わせて人材・プロセス・意思決定のスピードを整合させることにあります」と、ロックウェル オートメーション ジャパン 代表取締役社長 矢田智巳は述べています。
■ 日本市場の主要インサイト
- 日本の製造業は、スマートマニュファクチャリング技術やAIに対する理解・関心・投資意欲が世界でも高水準にあります。
- 一方で、導入は評価や部分導入にとどまりやすく、全社規模での展開が進みにくい傾向が見られます。
- その背景として、合議型の意思決定構造、人材・組織変革、データ基盤の制約など、人・組織・プロセスに起因するボトルネックが浮き彫りになりました。
- 多くの企業がサイバーセキュリティインシデントを経験している一方で、十分に阻止できるという自信は低く、IT/OTを横断したセキュリティ強化が重要課題となっています。
- これらの洞察は、以下のデータによって裏付けられています。
1. 高い技術対応力の一方でスケール展開に課題
日本の回答者は、製造業の現場に精通した中堅〜シニア層の管理職が中心であり、スマートマニュファクチャリング技術を「新たな挑戦」ではなく、「既存の生産資産を高度化する手段」として捉えています。その結果、評価・試験・部分導入はグローバルと同程度で進んでいるものの、スマートマニュファクチャリング技術を大規模に活用する割合は14%と、世界平均(22%)を下回っており、「広げきれない」課題が浮き彫りになっています。
スマートマニュファクチャリング技術の導入時期については「今後7~11か月以内」と回答した割合が22%で世界平均(39%)を下回る一方で、「今後1〜2年以内」を見据える企業は53%と、世界平均(27%)を大きく上回っており、日本特有の慎重かつ計画的な中期志向が見られます。
2. AI投資は進展するもAI以前の基盤に課題
AIに関しては、日本の積極性が際立っています。生成AIおよび因果推論AIへの投資済み割合は70%と、世界平均(55%)を大きく上回りました。さらに、生成AIまたは因果推論AIで「高いROIを得た」と回答した割合も41%で、世界平均(32%)を上回っています。
その一方で日本では、AIや機械学習(ML)を活用して業務を強化している割合は26%にとどまり、世界平均(34%)を下回っています。また、収集したデータのうち有効活用できている割合も31%と世界平均(43%)を下回っています。これらの結果から、AI活用への意欲は高いものの、業務連携やデータ基盤といった「AI以前のデジタル基盤」に大きな課題が残っていることが明らかになりました。
3. 組織変革とチェンジマネジメントに課題
日本における最大の内部課題は技術そのものではありません。「リーダーシップの不足」と回答した割合は42%と、世界平均(22%)の約2倍に達しました。リーダーシップ上の課題においては、「効果的なマネジメント」が40%(世界平均28%)、「コミュニケーション不足」が37%(世界平均23%)と回答する割合が上位を占めています。
また、人材面の課題においても世界平均を大きく上回っており、「変革マネジメント」48%(世界平均37%)、「従業員エンゲージメント」40%(世界平均30%)、「労働力不足」39%(世界平均29%)といった課題が上位に挙がっており、人材・組織面の制約がスケール展開に影響していることが示唆されます。
一方で、日本企業は人材面の課題に対応するため積極的な取り組みを進めています。多くの企業がAI/ML技術の導入を加速させているほか(58%、世界平均39%)、ロボット・協働ロボット・自律移動ロボット(AMR)による自動化の拡大(58%、世界平均38%)、さらには報酬の引き上げなどを通じた人材価値の向上(47%、世界平均29%)が進められています。また、日本の製造現場では、従業員の能力強化にも注力しており、過去1年間で自社の従業員の33%がリスキリング施策に参加したと回答しています。
4. サイバーセキュリティとMESにおいて成熟度の差が露呈
過去1年間にサイバーインシデントを経験した日本企業の割合は43%で、世界平均(46%)と同程度である一方、「サイバーインシデントを防止または封じ込めることに“非常に自信がある”」と回答した割合は、わずか7%にとどまり、世界平均(45%)を大きく下回りました。これは、ITシステムや企業ネットワーク、外部からのアクセスへの脆弱性に対する懸念を示しています。現在では、安全で統合されたIT/OTアーキテクチャが、AIや高度な自動化のスケール展開に不可欠な基盤となっています。
また、製造実行システム(MES)については、日本の導入率が84%と高い水準であるものの、標準化や完全に統合されているケースは33%にとどまり、世界平均(51%)を下回りました。これは、ERPやPLMなど他システムとの統合の難しさ(53%、世界平均33%)や、サイバーセキュリティおよびコンプライアンスに関する懸念(40%、世界平均30%)が、MESの拡張や高度化を進める上での主な課題であると言えます。
■ 日本市場における総合的な示唆
今回の調査結果から、日本はスマートマニュファクチャリング技術への理解、AIへの期待、投資意欲が世界トップクラスにある一方で、人材や組織変革、合議型の意思決定構造といった要因が、全社展開や価値創出のスピードを左右する局面に入っていることが明らかになりました。
「多くの企業が先進技術の導入において大きな前進を遂げている一方で、その効果を最大限に引き出すためには、人材・プロセス・意思決定のスピードを整合させることが重要です」と、ロックウェル オートメーション ジャパン 代表取締役社長 矢田智巳は付け加えました。
日本の製造業が競争力を維持・強化するためには、単なる技術導入にとどまらず、テクノロジ・人材・プロセスを横断的につなぐ組織変革を推進し、意思決定から実行までを加速させていくことが不可欠となります。
「第11回スマートマニュファクチャリング報告書」の全文は、こちらをご覧ください。
■ 調査方法
本調査は、ロックウェル・オートメーションと調査会社であるSapio Research社が共同で実施し、製造業が盛んな上位17カ国の意思決定者1,560人の回答を分析しました。消費財、食品&飲料、自動車、半導体、エネルギー、ライフサイエンスなど幅広い業界を対象とし、収益が1億米ドルから300億米ドル以上までバランスよく分布することで、製造業に関する幅広い視点を提供しています。
ロックウェル・オートメーションについて
ロックウェル・オートメーション(NYSE:ROK)は、産業用オートメーションおよびデジタルトランスフォーメーションのグローバルリーダです。人々の創造力とテクノロジの潜在力を結びつけることで人の可能性を広げ、お客様の生産性を高め、地球に優しい技術を提供します。米国ウィスコンシン州ミルウォーキーに本社を置き、2025年度末現在約26,000名の社員が、世界100カ国以上の営業拠点でお客様をサポートしています。製造業におけるコネクテッドエンタープライズ実現の詳細は、当社ホームページをご覧ください。
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メディア向けお問い合わせ先
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公開 2026年7月8日