米国での電気自動車の販売は昨年、20万台近くに達し、2016年に比べて25%以上跳ね上がりました。中国では、電気自動車の販売数は77万台となり、前年の50%以上増加しました。
拡大する消費者の電気自動車への需要の圧力を受けて、ブランドオーナとサプライヤは、プロセスと技術を移行し、この変化しつつある市場のニーズに対応しょうとしています。自動車メーカにとって、スマートで柔軟なオペレーションと統合オートメーションソリューションによる電気自動車の生産の増大という過酷なレースがもうすでに始まっています。
市場投入に要する時間の短縮が加速
急成長を遂げている電気自動車(EV)市場のシェアを獲得するには、できるだけ早く市場に到着する必要があります。そのためには、包括的な生産戦略が必要です。これは、最高の品質と最小限のリスクで短期間に車を生産する助けとなる戦略です。
統合オートメーションアーキテクチャは、インダストリ4.0のコンセプトを実現するための基盤です。このアーキテクチャは、適切な情報に適切なタイミングでアクセスして、重要な運用上の決定を下す助けとなります。また、機器の工場への簡単な組込みと市場の要求への素早い応答を可能にします。
統合アーキテクチャは、共通のネットワーク、制御プラットフォーム、データ構造、および設計環境を共有する制御システムと情報システムを使用します。例えば、1つのネットワークで、プラントシステムの相互接続や企業のその他のシステムとの接続がシームレスに行なえます。一方、共通の標準化されたデータ構造が、オペレーション全体に渡ってデータを簡単に引き出し、このデータを作業者がすぐに使用できる情報に変えるのを支援します。
この基盤に基づいて、EVのオペレーションをより高速に、より柔軟に行なうことを支援するスマートテクノロジを導入できます。検討すべきソリューションには、以下があります。
スケーラブルなインフラ: この製品は、ネットワークを収束し、プラントシステムとビジネスシステムとを接続し、よりよい決定を行なうための情報に作業者がアクセスするのを支援します。スケーラブルなインフラ製品は、オペレーションを小規模で開始したり、時間、人材、予算に制約がある場合に特に貴重です。
例えば、IaaS (サービスとしてのインフラストラクチャ)により、ネットワークインフラの設計、配備、メンテナンスの負荷を軽減できます。また、ネットワークのコストを資本経費から運転費にシフトできます。IaaSでは、事前にエンジニアリングされたネットワークソリューション、オンサイト構成、24時間年中無休のリモートモニタを1つの契約で締結できます。各分野で最高のテクノロジとアーキテクチャを使用し、ネットワークアーキテクチャのパフォーマンス、効率、稼働時間を最適化する手助けをします。
リニア搬送システム(独立型カートテクノロジ(ICT)): このテクノロジで構築されたシステムは、電気自動車の生産に大変革をもたらすでしょう。市場導入までの時間を短縮する生産ラインの高速化とダウンタイムの軽減を可能にします。
リニア搬送システムにより、ブランドオーナは小さいコンポーネントや、自動車の車体全体までも、従来の機械式ソリューションよりも速く、精確に工場のあちこちに搬送できます。このため、従来の車体工場や、高速搬送が課題であることが実証されているバッテリセルおよびバッテリパックの生産エリアにおける生産を簡単にスピードアップできます。
ICTを採用しているシステムの機能は、ボタンを押すだけで変更でき、高速の切換えを実現できます。また、これらのシステムは可動部品が少ないため、メンテナンスのニーズを減らし、稼働時間を拡大できます。
スケーラブルな製造実行システム(MES): MESソフトェアパッケージ全体を購入しなくても、個々のMESアプリケーションを使用して簡単に生産状況を把握し管理できます。
それぞれのアプリケーションは、品質、マシンパフォーマンス、系図、追跡とトレースなどの特定の課題に対応しています。単一のアプリケーションと最小限のインフラ要件で、マシンレベルまたはワークエリアレベルで開始できます。生産が増大し目標としていた投資利益率(ROI)が実現されるのに伴って、他のアプリケーションを追加したり、統合MESソリューションにスケールアップできます。