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Automation Today第56号

電子バッチ記録で規格への準拠の先へ

最新の電子バッチ記録技術は、規格に準拠しながら記録書類のデジタル化を超えるメリットを提供

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食品市場および製薬市場では、頻繁に技術と規制が変更されます。スマートマニュファクチャリングは、スマートマシンとスマート機器の開発を急ピッチで推進し、数々の新たな可能性を提供していますが、食品医薬品局(FDA)も規制の強制力を高めています。

世界中のさまざまな種類の製造メーカが、特に品質管理活動、安全報告および製造業務について厳しく精査されています。そのため、製造メーカは強力な経営管理の導入によるリスク軽減に注意を払うようになっています。

以前は、電子バッチ記録(EBR)は、主に医薬品企業が生産バッチ記録を保持するために必要な山のような書類を自動化するために使用されていました。

FDAによって21 CFR Part 11として知られる連邦法第21章第11条が発布されたとき、生産施設での製品のあらゆるバッチの生産、梱包および処理を記録するために、EBRの使用が許可されました。それ以降、業界はバッチ記録の自動化が、ワークフローおよび効率の改善にもつながることを認識し始めました。
 

オペレーションのGPS

紙ベースのワークフローをコンピュータベースのワークフローに置き換えることで、ヒューマンエラーが発生する確率が下がり、規格準拠のプロセスが迅速化します。ただし、EBR技術によって、ワークフローのデジタル化と記録管理を遙かに上回るメリットを得ることができます。

EBRを製造業務のGPSと説明する業界の専門家もいます。それは、いずれもユーザを目的地に導き、最短のルートを見つけ、危険を警告し、リアルタイムのフィードバックを提供するからです。

Rockwell SoftwareのPharmaSuite® MESなどのスケーラブルな製造実行システム(MES)に統合した場合、EBRはさらにダイナミックになり、まったく新しい方法でオペレーションをサポートできるようになります。

特に、オペレーションがコネクテッドエンタープライズに移行している場合、EBRは企業全体の情報にアクセスし、従業員にロールベースの指示を発行し、例外ベースの報告書を作成することができます。

EBRによって、例外ベースの再検討が可能になり、製品出庫が速くなり、在庫回転率が上がります。

より速いルート

お客様の需要に応え、特許および製品の有効期限が切れる前に利益を最大化したい医薬品製造メーカにとって、市場導入時間はきわめて重要です。最新のダイナミックなEBRを使って、市場導入期間を短縮する方法は複数あります。

品質保証(QA)チームは、例外によるレビュー機能を使って、あらゆる記録を1行1行チェックするよりも大幅に短い時間で偏差を特定できます。

これは、文書の再検討を迅速化し、製品の出庫に必要な時間を短縮するだけでなく、バッチ精度と生産の一貫性を改善します。

高度なEBRシステムで利用可能な事前検証済みのレシピ・ビルディング・ブロックは、開発時間を短縮するために再利用することができます。時間がかかるカスタムのプログラミングと検証にかわり、レシピ作成者は命令ライブラリを使って数分で新しいワークフローを作成できます。

同様に、リアルタイムの情報アクセスは、生産サイクル全体でプロセスを高速化する機会を創出します。例えば、従業員が実際にそれぞれのゲージまで歩いて行き、値を記録するのではなく、ゲージデータを自動的に収集することができます。

プロセス情報を収集して再検討する能力は、冗長な原料チェックや重量の検証といった不要なタスクを簡単に特定して、撤廃できるようにします。

さらに、コネクテッドエンタープライズでは節約できる時間は増える一方です。EBRシステムをモバイルデバイスに接続する能力によって、例えば従業員がプラントフロアのどこにいても、より迅速かつ便利に情報にアクセスできます。
 

新たな効率の発見

時間のかかる規格に準拠するための作業は、製品が出荷待ちでその場に留まっている間に、生産オペレーションのコスト増になります。さらに、生産中または文書化プロセス中のヒューマンエラーは、製品の廃棄や、悪くすると汚染およびリコールにつながる場合もあります。

現在、製造メーカはEBR技術を使用して、生産の総費用を最適化する新しい方法を発見することができます。

規格への準拠のためにEBRシステムを導入すれば、すぐにも物理的な文書を保管するための時間とコストが不要になります。自動化されたQA機能を使って、プロセスの偏差を調査するコストを削減することなどで、動的なEBRによって、このような節約をさらに進めることができます。

強制可能なワークフローなどのEBR機能とヒューマンエラーのリスク軽減の組み合わせは、生産と記録エラーの防止、および製品廃棄の削減に役立ちます。さらに、これらのエラーを防止することで、莫大な出費となりブランドに壊滅的な打撃を与えるリコールの可能性を最小化するのに役立ちます。

規格への準拠のためにEBRシステムを導入すれば、物理的な文書の保管にかかる時間とコストがすぐに不要になります。動的なEBRによって節約をさらに進めることができます...

規格への準拠の推進

ペーパーレスのEBRシステムは、オートメーションのパワーとより優れた接続性を利用し、実証された規格への準拠をさらに簡単に、さらに改善します。

FDA 21 CFR Part 11は、作成、修正、保持、アーカイブ、検索、または送信された電子記録に適用されます。EBRをMESに統合することで、製造メーカは手作業で行なっていた文書化プロセスを自動化して、計算ミスや誤った記録などのエラーの可能性を軽減することができます。

レシピと注文情報をコネクテッドエンタープライズに組み込む能力によって、従業員は正しい情報を最大限の効率で取得できます。

例えば、システムは生産オペレータに特化した状況に応じた指示を届けたり、21 CFR Part 11で規定されているサインオフなど、プロセスおよび手順を強制することができます。最も重要なのは、このモノのインターネット(IoT)時代に、EBRはすべての電子記録の信憑性と信頼性を保証することができるということです。

さらに、ロールベースアクセスなどのEBRのセキュリティ機能によって、承認されたスタッフのみが生産活動を行なうことができるように限定することができます。
 

規格準拠のために強化

機械装置メーカ(OEM)は、要件が変わるため、自分達とお客様が規格準拠に関する課題に対応できるようにしなければなりません。そのため、規格に準拠するという障壁を打破しながら競争力を維持し、電子文書の経費節約のメリットを余すことなく手に入れるために、スケーラブルなヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)ソフトウェアが重要になります。

ロックウェル・オートメーションのFactoryTalk® View Machine Edition (ME)バージョン10.00は、食品および医薬品製造メーカのさまざまな需要に柔軟に対応するために開発され、21 CFR Part 11に準拠する必要があるアプリケーションに向けて設計された機能が追加されています。

マシンレベルHMIの最新バージョンは、オペレータの操作を記録してローカルに保存する新たなオンボード監査機能を備えています。また、アラームを確認するためのユーザのログインなど、すべてのタグの書込みおよびシステムの活動を監査します。

システムから監査履歴、アラーム履歴、および診断ログをコンマ区切り形式(CSV)ファイルでエクスポートできます。この情報は、EBRの生成にも使用できます。
 

新たな方向性

世界中の政府が、偽造品の取引の防止に関する法律を制定しています。

それぞれの規則は独特なものですが、共通するアプローチとして、医薬品業界に限らず他の消費者向けのパッケージ商品(CPG)分野の製造メーカに、製品のトレーサビリティと認証のためにシリアライゼーションシステムの使用を求めています。複数の国で操業するグローバルな製造メーカにとって、このような規制に準拠することが非常に重要です。

効果的なプロセス制御と品質管理とともに、諸経費だけでなくエラーの削減に対するニーズが高まるにつれて、EBRテクノロジは急速に発展し、将来的にもこれに対する需要は安定的に伸び続けるでしょう。

EBRシステムの進歩は、いまだに紙ベースの報告書に依存している製造メーカにとって、規格に準拠する、さらに生産性を高める、さらにコスト効率を高めるといった機会に満ちあふれた新たな未来を提供します。

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