世界中でスマートマニュファクチャリングが注目されています。製造装置メーカ(OEM)は、接続性や人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などの概念、そしてそれがどのように生活を変革するかについて耳にしない日はありません。
製造の新時代に入り、そこでは多くの機会が得られると同時に、多くの難題も存在します。製造メーカはそれに着手するための適切な方法を切望しています。
多くの製造メーカが異種混合のネットワークと「オートメーションの島」から単一の統合されたオートメーションインフラへと移行するにつれ、組織全体からデータを収集して1ヶ所に集め、配信するためのメインエンジンとして、最新の製造実行システム(MES)の重要性がますます高まっています。
また、MESはコネクテッドエンタープライズや、データ駆動型オペレーション、生産性と利益の向上への入り口にもなります。
MESによる変革
この最も有効なソリューションでは、初期投資を低く抑えることができます。例えば、ベンダーはスマートフォンを利用してリモート制御が可能な照明システムを提供しています。ベンダーは別パッケージとして、照明システムに統合される、光の点滅によって視覚的に火災警報を出す煙探知器を提供する場合もあります。
個別に購入する場合のコストについては、これらの互換性のあるコンポーネントは、それぞれわずか数百ドルで入手できます。ユーザは初期投資の価値を確認し、より多くの予算を確保した後で、全体のデジタルプラットフォームにほとんどの場合、簡単に統合できます。
これと同じ基本原則が、MESについても適用できます。ロックウェル・オートメーションでは、製造メーカの目的に合ったソフトウェアアプリケーションを開発しています。これらのソフトウェアアプリケーションでは、製造メーカは、MES全体の何分の1かのコストで、工場フロアまたは運用技術(OT)をITおよび企業システムに接続することができます。
FactoryTalk® ProductionCentre®の拡張性に富んだ価値ベースのアプリケーションは、複数の業界をサポートし、製造メーカが優れた業績を達成し、サプライチェーンの効果を高め、法令順守ガイドラインやサステナビリティ目標を守ることを支援します。
目的に合ったモジュール
製造メーカはリソースを最大限に活用し、無駄と非効率を最小限に抑え、オペレーションのコスト効率を改善する必要があります。
アプリケーションのモジュール構造によって、製造装置メーカ(OEM)は現在の主要な経営課題を支援するために必要な機能に投資でき、後で他のソリューションに拡張が必要になった場合に必要に応じて追加できます。
また、大規模なMESインフラは所有していない会社でも、品質や収益、コストの領域を改善するためにそのギャップ埋めることができます。
各モジュールにはそれぞれ異なる価値基準があり、異なる業務や製造上の課題に個別に対処できます。
FactoryTalk Performance – 製造工場では多くの場合、リアルタイムの生産パフォーマンスや生産性データが可視化されておらず、実際の生産の進捗状況を把握することができません。
工場では、実際の生産損失がどこで発生しているかや、故障の原因、そしてこれらが生産性に及ぼす影響などを知る必要があります。通常、短時間の停止は追跡されない場合が多いですが、停止がたび重なれば会社の生産性の大きな損失になります。
Performanceアプリケーションは、工場の効率および生産の改善によって製造企業をサポートします。
運転性能や故障およびその原因を可視化することにより、製造メーカは操業実態を直接確認でき、停止やラインの減速に対して迅速に対応することができます。
工場やエリア、および生産ラインを生産オーダの状況に合わせて表示でき、加工中の原材料を表示できます。会社の誰でも、その役割に合わせて、現在の生産速度と生産ラインのステータスに基づいて、いつその生産注文が完了するかについて概要を見ることができます。
これにより生産工程は予測可能になり、無駄のない製造や機器利用の継続的改善が可能になります。
会社は、より緊密な保守プロセスとの連携や、より正確な保守計画を実現でき、余計なダウンタイムを防ぐことができます。
FactoryTalk Quality – 多くの工場では、依然として異種のシステムや手作業および紙ベースのプロセスを使用しています。このような会社では、ワークフローの強制や、データの収集/分析、リアルタイムのデータ表示が困難で手間がかかります。これは一貫した生産品質を保証できないというリスクに会社をさらします。最初から情報をデジタル化することが重要であるのはこのためです。
Qualityアプリケーションを使用すると、製造メーカは、一般的なレシピまたはタスクの形式で生産工程に対する企業全体の品質対策を定義することができます。これらは、後から再利用でき、異なるエリアまたは場所に拡張できます。
例えば、食品生産でよくある要件は、会社はお客様の注文に対して固有の品質基準を作成し、文書化する必要があるというものです。この文書化プロセスは、主に紙ベースで行なわれているため一般的に非常に時間がかかります。
アプリケーションを使用すると、ユーザは生産オーダの設定の一部として品質要件を設定でき、システムはそれに従って品質基準を設定し、文書化します。次に各種の一般的なジョブやタスク、およびレシピは、使用される材料または機械、または生産注文要件に合わせて調整され、処理タスクとして提供されます。
このようにして、必要な処置を手作業または自動で入力でき、情報は作成されるとすぐにデジタル化されます。Qualityアプリケーションは、生産施設が期限通りに高品質の製品を納品し、要件に従ってプロセスを文書化し、品質問題に迅速に対応することを支援します。
FactoryTalk Production – 製造メーカは、生産工程の最適化、構造コストの削減、生産性の向上、ほぼ在庫なしのシステムといった課題の実現に直面しています。Productionアプリケーションは、製造工程の強化につながるタスクに対処します。このアプリケーションは、ERPに統合され、注文および生産に必要なレシピパラメータを追跡します。
食品製造業を例にとると、施設は原材料の搬入から注文品の自動製造までのすべてを追跡することができ、これには材料の実際の使用量や生産される製品の数量も含まれます。これらの結果は自動的にERPシステムに報告され、計画された数量と直接比較され、余った材料が施設に残ることを防ぎます。
これらのすべてのステップはデジタル化され、後から追跡でき、一貫した追跡を可能にする必要があります。このようにして、Productionアプリケーションは、工場内での徹底した生産管理をサポートし、継続的な改善のためのプラットフォームも提供します。
拡張性に富んだ計画の実施
これは完全な品質管理ソリューションですが、実施の利点は統合にあるため、将来的な目標を常に意識することが重要です。MESシステムの構築を1つのアプリケーションごとに開始する前に、すべての部分が最終的に接続されるように統合計画を立てておく必要があります。
目的に合ったシステムが相互に通信を開始し、システム全体でデータを活用するようになれば、そのメリットは飛躍的に増加します。計画なしで開始すれば、将来的なMESの統合は困難になります。
標準化計画の最初のステップは、ISA-95に準拠した製品とベンダーを選択することです。これによって、製造装置メーカ(OEM)は異なるベンダーから機能を選択して使用しても、製品相互の互換性は保証されます。
次のステップは、システム設計を検討することです。例えば、製造メーカが生産管理アプリケーションを既に品質管理が導入されているシステムに追加した場合は、複数のシステムからデータを取り出すことができ、データ集の追加コストなしで運用手順を改善できます。そのため、最適な洞察を得るには、状況が似ているアプリケーションから始めてください。
大規模な計画を簡単に開始
IoTの本質を正しく導入するには、製造メーカはコネクテッドエンタープライズへのモジュール式アプローチをとると良いでしょう。機械または作業エリアレベルに、MESアプリケーションを導入できます。小規模なパイロットエリアから始めて、徐々に他のアプリケーションを追加しながら、ROIが実現したら統合MESソリューションにスケールアップできます
ロックウェル・オートメーションは、スマートな製造メーカがSaaS (サービスとしてのソフトウェア)や産業用データセンターなどのテクノロジを活用するお手伝いをします。クラウド、拡張性に富んだ分析、IIoTなどの新たに出現したテクノロジを使用すると、非常に簡単に始めることができます。
システム接続作業が大変に思えるのに対して、アプリケーションベースのアプローチでは開始点がシンプルです。実際に始める前に、しっかりと計画を立ててください。先見が将来の頭痛をなくし転ばぬ先の杖となります。