イノベーションの加速や業務の合理化など、クラウド型のSaaSは製造業に素晴らしい影響を与えます。
ガートナーによると、この5年間で、ITは急速にクラウドに移行しました。実際、2024年までにIT支出の45%がクラウドに移行すると予想されています。そして次はOTです。
これはどのようなものでしょうか? 新製品や新プロセスの設計をシミュレーションしてから、設計、立上げ、生産の最適化に必要なリソースを投入することを想像してみてください。また、どこにいてもお客様の機器をすぐにサポートすることができ、コストのかかる出張が不要になるという可能性も考えてみてください。そして、これはほんの始まりに過ぎません。
イノベーションの加速やスケーラビリティの向上から、アジリティの向上、オペレーションの合理化、コストの削減まで、クラウド型のSaaS (Software as a Service: サービスとしてのソフトウェア)はビジネスを大きく変える可能性を秘めています。
1. 仕事の進め方をシンプルに
仕事が複雑であったとしても、その管理方法が複雑である必要はありません。クラウド型のSaaSは、ビジネスのやり方をシンプルにするのに役立ちます。
クラウドはオンデマンドのスケーリングを可能にし、ユーザや計算能力の追加や削除をこれまで以上に簡単に行なうことができます。それだけでなく、SaaSでは、インストールやメンテナンスのためにIT部門に依存することなく、従業員は常に最新バージョンのソフトウェアにアクセスすることができます。さらに、ソフトウェアやアプリケーションをクラウドで拡張することで、ハードウェアやソフトウェアの資本コストを削減することができます。
製造業におけるクラウドは、オンプレミスのソフトウェア、ハードウェア、物理的なアクセスを完全に置き換えるものではありませんが、既存のシステムを拡張して効率性の向上やコラボレーションの改善などを実現する新しい機能を提供します。
埋め込みソフトウェア
- 特定のオートメーションハードウェア上で動作する
- 単一目的
- 一般的に、上位のソフトウェアパッケージによって構成またはプログラムされる
- OTが責任を負う
ローカルコンピュータ
- ラップトップやワークステーションで動作可能
- チームの規模に応じた初期費用
- ソフトウェアユーザにはメンテナンスの負担がかかる
- すべてのユーザ/チームに責任があり、通常はIT部門と共有される
オンプレミス
- 建物内のサーバで動作
- 導入・維持に費用がかかる
- 複数のサイトやベンダーでの共有が難しい
- ITが責任を負う
クラウド型のSaaS
- 地域のデータセンターで稼働
- 安価にスタートでき、サブスクリプション料金でメンテナンスをカバーできる
- 世界中のベンダーとの共同作業が容易
- SaaSプロバイダが責任を負う
2. イノベーションのレベルアップ
イノベーションは、進化するお客様のニーズに応え、競争に打ち勝つための手段です。クラウド型のSaaSを使えば、現実世界でこれらの活動を行なうリスクやコストを伴わずに、テストを実行し、生産上の課題を解決するための自分のデジタルラボをすぐに手に入れることができます。
既存の生産への影響を軽減しながら、簡単にコラボレーションを行ない、新しいことをより早く、より低コストで試すことができれば、どんなことが実現できるかを考えてみてください。クラウド型のSaaSはこのようなことを可能にするだけでなく、手の届くところにまで持ってきてくれます。
また、データの質が向上し、より大きなデータセットを相関させるための計算能力が向上し、産業界のライフサイクル全体にわたって単一のデジタルスレッドを使用することで、オペレーションを最適化し、将来の設計を次のレベルに引き上げる大きな可能性があります。
3. システムサポートのあり方を見直す
クラウドは、いつでもどこでもシステムや機器の管理を可能にします。このようなアクセス性があれば、導入した機器の管理、設定、接続を瞬時に行なうことができます。
生産現場のニーズに迅速に対応することで、解決策をより早く見出すことができます。また、リモートで作業を行なうことで、移動にかかる時間と費用を削減することができます。クラウドを利用した定期的なリモートメンテナンスにより、緊急事態が発生する可能性はさらに低くなります。さらに、クラウドを利用した遠隔地との接続は、将来的にはより積極的なサポートモデルなど、より大きな意味を持つことになります。
工場の現場から得られたデータは、生産性向上のための意思決定を自動的に行なうことができます。設計からのコンテキストを利用して、運用情報を予測し、予期せぬダウンタイムの防止や、稼働中のオペレーションの効率化に役立てることができます。
これにより、ダウンタイムの短縮、生産性の向上、廃棄物の最小化や歩留まりの向上などの業務効率化を実現します。これは特に、最も離れた場所にあるオペレーションにとって有益です。
自信を持って設計と変革を支援するSaaS製品
クラウド型のSaaSのこれらの利点は、オートメーションソフトウェアの未来を再形成しています。これは、Azureプラットフォーム上でMicrosoftと提携してFactoryTalk® Hub™を開発した当社にとって重要な検討事項です。その過程で学んだことは、最適なソリューションを見つけるために車輪の再発明をする必要はないということです。そのかわり、当社は他の産業で実証済みの技術を適用し、それらを修正・適応させ、独自の学習を加えて、生産環境にユニークで即時の価値を創造してきました。
当社はFactoryTalk Hubスイートへの新しいクラウドネイティブなアプリケーションであるFactoryTalk® Design Studio™の提供の最終段階に入っています。コントローラプログラミングに始まり、マルチ・コントローラ・プロジェクトをサポートする最新の設計環境、およびシステムでの共同作業の方法を簡素化するオンデマンドソリューションを提供します。当社は、使い慣れたオートメーションソフトウェアの機能に最新のソフトウェア開発手法を取り入れ、これまでにないレベルの柔軟性を提供します。
- 設計の柔軟性: 制御システムのプログラマの中には、ラダーやファンクションブロックのプログラミングに、保守担当者が直感的に使えるグラフィカルなエディタを使いたがる人がいます。しかし、テキストベースの言語を使って開発する方が効率的だと考えるプログラマもいます。歴史的には、多くのプログラマにとって使いやすいものは、保守担当者にとって使いやすいものではなく、これらは2つの異なる言語であったため、プログラマは妥協せざるを得なかったのです。しかし、今は違います。
FactoryTalk Design Studioを使用すると、同じロジックとコードを作成し、テキストまたはグラフィカルのどちらででも表示できます。これはユーザが選択できます。プログラマは、どのエディタを使用しても、コードが両方のビューで使用でき、同じように実行されることに確信を持つことができます。プログラマは、自分が提供するものが下流にいる同僚や他の共同作業者のニーズを満たすことを知ることができ、どのように仕事をしたいかを自分で選択する力を与えられます。
- ユーザ主体のコラボレーション: システムがより大きく、より複雑になり、チームがより分散するようになると、より良いコラボレーションが必要になります。人々は互いの足を踏み外さないようサイロ化した役割を強いられることがあり、矛盾や競合を引き起こす可能性のある重複した編集を行なうことがあります。このような制限により、プログラマが並行して作業することができなくなり、作業スピードが低下してしまうことがあるのです。
ソフトウェア開発業界は、あらゆる規模のプロジェクトを確実かつ効率的に処理するために設計された分散型バージョン管理システムによってこの問題を解決しました。現在、FactoryTalk Design Studioは、この実績あるテクノロジを活用して、産業オートメーションにおけるマルチユーザのコラボレーションを実現しています。直感的なコラボレーションツール、自動変更追跡、および競合管理機能により、ユーザはチームの生産性を劇的に向上させることができます。
- セキュアなストレージで安心をお届け: プロジェクトの数が増えるにつれて、これらのファイルを整理して記録し、1か所にまとめて表示するのは面倒になります。ハードディスクが故障したり、置き忘れたりすると、ファイルを紛失することもあります。
さらに、新ラインの開発やその他の理由で、プロジェクトファイルのアップグレードに余分な時間がかかると、コンピュータに負担がかかり、エンジニアリングの効率が低下する可能性があります。
これらの課題により、FactoryTalk® Vault™を開発することになりました。クラウドネイティブのセキュアな産業用ファイルストレージで、参加者や組織で役割ベースの共有を可能にしてコラボレーションを加速し、システム全体のあらゆる変更のファイル履歴を維持し、プロジェクトファイルをグループ化することができます。また、バージョン管理システムにより、ファイルの変更履歴を記録し、安全性を確保するとともに、必要に応じてファイルを復元することができます。さらに、このソリューションでは、コントローラのプロジェクトファイルの詳細な分析を通じて、設計に関するより深い洞察を得ることができます。
クラウドネイティブな製品とSaaSの組み合わせにより、どこからでもアクセスでき、異なる役割を持つチームメンバー間のコラボレーションを容易にし、ハードウェアの構築、テスト、試運転を仮想的に行ない、初回で正しい品質を達成することができます。チームワークを促進し、生産性を向上させ、新しいレベルの柔軟性を提供するソリューション、それがFactoryTalk Design Hubです。詳しくはこちらをご覧ください。