課題
- シアトル・タコマ国際空港(SEA)では、今後数年間で旅客数を2倍以上の2,600人/時に増加させるとともに、手荷物取り扱いシステムの稼働率を向上させる。
ソリューション
- デバイス・レベル・リング・ダイナミック・ホスト構成プロトコル(DLR-DHCP)を使用するStratix® 5400
- PowerFlex® 525 Drive-In-A-Box
- EtherNet/IP™ 設計を活用した1つのネットワークは、空港での初のアプリケーションです。
- 自動デバイス構成(ADC)を使用して、迅速かつ自動的に、ダイナミックに、そして集中的に配電を管理
結果
- 信頼性の高いシステムで、計画外のダウンタイムを低減
- 単一障害点のない完全な冗長システムにより、ダウンタイムを軽減
- システムにより、世界的な旅行需要の増加に対応して、空港の手荷物取り扱い業務を容易に拡張できる。
空港は、人、飛行機、製品を安全に、確実に、滞りなく移動させる、緻密に編成された物流オペレーションです。
そのため、ソリューションインテグレータであるIntellimodus社は、世界中の目的地にいる乗客に手荷物を届ける空港のシステムを専門に設計しています。
SEA空港のシームレスな運用には、高度なシステムが不可欠です。2019年には5,000万人以上がSEAを利用しました。SEAは過去5年間、米国で最も成長している空港です。
この空港では、旅行者の満足度を維持するために、完璧な手荷物取り扱いシステム(BHS)を必要としていました。また、セキュリティと乗客の安全を向上させるために、爆発物検知システム(EDS)装置を備えた運輸保安局(TSA)の追加要件を満たす必要がありました。
この空港では、BHSを安全で冗長性のあるシステムで分散管理することを希望していました。これにより、顧客満足度が向上し、システムが常に利用可能であることが保証され、世界の旅行需要を満たすために空港が成長し続けることが可能になります。
分散型戦略
SEAのエンジニアリング会社は、Intellimodus社およびロックウェル・オートメーションと協力して、分散型システムに単一障害点を持たないシステムを開発しました。国内線ターミナルにおける手荷物最適化プロジェクトおよび国際線到着施設プロジェクトにおいて、ロックウェル・オートメーションは、BNPアソシエイツ社とIntellimodus社と共に、Drive-In-A-Box (DIAB)を開発しました。
DIAB構成では、自動デバイス構成(ADC)を備えたPowerFlex 525ドライブが使用されており、数分以内にドライブを無停止で交換することができ、潜在的な手荷物遅延のリスクを低減することで旅行者の体験を良好に保つことができます。
この設計には多くの問題があったため、チームはDIABを可能な限り小さくしながら、冗長PLCを導入してネットワークを証明する作業を行ないました。このシステムでは300台以上のDIABが使用されており、各DIABにはPowerFlex 525可変周波数ドライブ、ロータリディスコネクト、パイロットデバイス、1799E I/Oカード、端子台、クイック・コード・セット・コネクタが底部に設置されています。
また、このシステムでは、デバイス・レベル・リング(DLR)ダイナミック・ホスト構成プロトコルを使用するStratix 5400産業用イーサネットスイッチが、IPアドレスの自動割付けを行なうサーバとして機能しています。この機能により、故障したBHSコンポーネントの交換に要する時間を短縮することができます。
この機能は、交換したコンポーネントのIPアドレスとすべての設定を自動的にダウンロードするため、10分以内にシステムを再稼働させることができます。これまでは、保守担当者や運用担当者が手動でデータを入力する必要があり、30~45分かかっていました。その結果、お客様の満足度が向上し、ロストバゲージによるコスト削減にもつながりました。
EtherNet/IP™の設計を利用して1つのネットワークを提供することは、空港では初めての試みであり、複数の通信ネットワークやネットワークコンバータ、データ変換を最小限に抑えるためのベストプラクティスとなります。
その結果、SEAのスタッフは、複数のネットワークや、あるEtherNet/IP™から別のネットワークへのデータのマッピング方法に関するトレーニングを受ける必要がなくなりました。トレーニング時間の短縮に加えて、Intellimodus社はプログラミングと統合のコストを削減しながら、一般的な既製品(COTS)を活用してOTとITの互換性を実現しています。
ダウンタイムの低減
冗長システムは、システムの可用性を高めることでダウンタイムを低減します。
SEAは、DIABコンポーネントに含まれるDLR-DHCPとADCの標準機能を利用することで、フィールドデバイスの交換を簡素化し、復旧時間が改善しました。単一障害点を排除し、DLR、冗長スイッチとコントローラを導入することで、ネットワークが自己回復するため、SEAのBHSは継続して稼働することができるようになりました。
メンテナンスでは、システムの不良や故障した部品を、プログラミングや設定用の機器を使わずにシームレスに交換することができます(プラグ&プレイ)。
まとめ
ロックウェル・オートメーションがIntellimodus社およびBNPアソシエイツ社と共同で開発したこれらのソリューションは、SEAの手荷物取り扱いシステムの処理能力を向上させ、可用性を最適化しました。信頼性の高い完全な冗長性を備えた新しいシステムは、ダウンタイムを低減し、荷物を必要な場所に届け、人々の移動を妨げません。
公開 2021/04/12