お客様へのご提案
課題
- 石油およびガス業界に重機を供給しているM.G.ブライアン社では、拡張可能なリモート資産(破砕機)管理ソリューションを必要としていた。
ソリューション
- 資産性能管理(APM) - Microsoft Windows Azureクラウド・コンピューティング・プラットフォームを活用する新たな情報システムをロックウェル・オートメーションが開発、さまざまな(異種)製造資産のリアルタイムの情報へのセキュアなリモートアクセスを実現
- 製造インテリジェンス - 各破砕機のデータを収集・保存し、これを基に個々の破砕機や破砕機すべてについてダッシュボードやレポートを作成し性能を最適化する。
結果
- ビジネスモデルが改善された - 高額な資産を有効活用できるようになったM.G.ブライアン社は新たなアフター・マーケット・サポート・サービスを提供できるようになった。
- 予防保全サービス - 資産の性能をリアルタイムで視覚化できるようになり、M.G.ブライアン社は予防保全の通知を出すとともにサービスも提供できるようになった。この業界では他に類のないリモートサービスが可能となった。
背景
米国がロシアから世界最大のガス生産国の王座を奪ったのは2010年のことでした。また、国際エネルギー機関による2012年の予測では、米国は2020年までにサウジアラビアを凌いで世界一の石油生産国にもなるとされています。この期間をさらに縮めるような大規模な石油およびガス開発が行なわれています。この予測が現実となり石油およびガス業界が成長していくには、注意を常に生産に向けておく必要があります。
このような生産需要を石油およびガス会社が満たせるよう、テキサス州グランドプレーリーに本拠を置く重機械の大手メーカである、M.G.ブライアン社はこれまで25年以上も支援を提供してきました。同社はエンジンや発電機、産業用ポンプ、油田サービス機器、危険な領域用パワーパックなどを供給し世界的に展開しています。最近はほとんどの石油とガスが水圧破砕法で貯留岩から石油/天然ガスを掘削するという方法で生産されています。M.G.ブライアン社は、これら資源を採掘する際の破砕ポンプトレーラやトラック、スキッドの販売・リースを行なっています。
課題
破砕機の値段は100万ドルもすることがあります。破砕機は極端な隔離環境で運用され、多くの消耗部品でできています。200~400時間ごとに石油フィルタを交換し、使用時間が4000~7000時間を超えたエンジンは修理する必要があります。その間のダウンタイムの損害は社内コストだけでも1日3000~7000ドルにも上りますが、この数字は生産から収入が得られない分を考慮せずの数字です。遠隔地で運用するため、携帯電話は当然ながら受信できないことがあります。そのため、大半の生産業者はどれかが故障しても引き続き生産を継続できるように現場に予備の破砕機を置いています。
フラクチャリングが高くつくのはこの予備の破砕機のせいです。小中規模の石油およびガス生産業者の多くが破砕機を月単位でリースしています。こうした業者は機器制御システムや保守の専門家ではなく、ほとんどの場合、機器のレンタルコストや購入コストの削減法、そしてROIの改善法を模索しています。つまり、機器への投資を値打ちあるものにしようと取り組んでいるのです。
お客様のROIを最大限に高めるにM.G.ブライアン社は、費用効率よく機器を監視してその稼動状態をリアルタイムで理解し、資産稼働時間を最大限に高める必要がありました。
ソリューション
M.G.ブライアン社は ロックウェル・オートメーションと手を組み、破砕機の制御および情報システムを新しく開発しました。このシステムは、Microsoft Windows Azureクラウド・コンピューティング・プラットフォームと FactoryTalk®ソフトウェアスイートの組み合わせで、リアルタイムの情報へセキュアにリモートアクセスできるシステムです。
破砕機の制御システムには、 Allen-Bradley®のCompactLogix™プログラマブル・オートメーション・コントローラが搭載されています。また、制御システムのデータがクラウド・ベース・バージョンの FactoryTalk VantagePointソフトウェアで収集され、これを基に各破砕機と破砕機すべての性能が包括的かつコンテクストに応じて描写されます。情報はセルラーモデムを介してクラウドに送られます。この際、通信状態の悪い場所でも送信できるようにデータを細かく分けて非常に小さいパケットとしてまとめます。また、接続できない場合はデータをいったんゲートウェイに保存して、接続が復活した時点で送信します。
新しい制御および情報システムは完全統合型で、異種の情報源から履歴データや関連データ、取引データといった情報を1ヶ所に集約します。こうしたリッチデータを100%活用できるようにロックウェル・オートメーションが使用したのはクラウドコンピューティングです。これならM.G.ブライアン社もそのお客様もデータセンターを作ったり管理したりする必要がありません。
M.G.ブライアン社のエンジニアリング部長であるジョッシュ・ラバドー氏は次のように述べています。「最初の5台でもその次の1000台でも、同じように機能するソリューションを求めていました。それから、ハードウェアには莫大な先行投資はしたくない、長期的なシステム保守を避けたいということがはっきりしていましたので、旧式のデータセンターは最初から検討しませんでした。」
モバイル技術を活用しクラウドを介してビジネス情報をセキュアかつシームレスに転送することで、M.G.ブライアン社は高度なコネクテッドインテリジェンスにアクセスできるようになりました。「クラウドからモバイル機器やWebブラウザでデータを取得し、破砕機のドライブトレインの状態やフラッキングパフォーマンス、保有機全体のプロセスパフォーマンスや保守の傾向などについてレポートやダッシュボードを作成できるようになりました」と、ラバドー氏は語ります。「当社の新しい情報システムにクラウドコンピューティングの柔軟性と拡張性が組み合わさり、素晴らしい運用管理ソリューションが生まれました。当社自身の保有機にも販売用の破砕機にも使えるソリューションです。」
結果
リモート資産のデータをセキュアかつ即時に視覚化できるようになり、M.G.ブライアン社の顧客は稼働時間が増加し生産性も向上しました。例えば、リースしている破砕機のエンジンがサージしているという苦情がM.G.ブライアン社に寄せられたことがありました。エンジンの1分間当たりの回転数が急激に変化すると、水を地下に注入する鉄管内の圧力が変化するため非常に危険です。鉄管が破裂すると生産停止となるだけでなく、金属片が飛び散り現場にいる作業員を負傷させたり死亡させたりする恐れもあります。
このようなエンジンサージは、エンジンの劣化や異物の混入、内部コンポーネントの故障などさまざまな原因で起こりますが、M.G.ブライアン社の担当者は至急ログインしてその破砕機のデータを確認することができました。その結果、ポンプの流体側の入口圧力が60から6 psiに落ちており、ポンプにキャビテーションが発生していることがわかりました。タンクに水が供給されていなかったのです。そこで、タンクを確認し誤って閉められているバルブを開栓するようにアドバイスしました。この間の時間はわずか10分余りでした。このお客様は、流体側に空気が入り破裂にいたるのを防ぐことができました。破裂していれば、部品交換に6万ドルかかるほか、160キロも離れた現地に赴く必要があったかもしれません。作業員の負傷も生産時間の損失も免れました。
このソリューションは、プロジェクトリスクを軽減し生産コストを削減しながら破砕機の価値を短期で創出するという新たなビジネスモデルへとつながりました。「分単位、時間単位、日単位で破砕機の使用状況をモニタできるようになったため、リース契約の見直しが可能となりました」と、ラバドー氏は語ります。「業界標準の月間契約から従量課金制へと切換えたため、月単位で賃貸いただく必要がなくなりました。まったく運用していない予備の破砕機に年中無休で運用している他の破砕機と同じ料金をお支払いいただく必要がなく、実際に使用した日数分のみお支払いいただくことになりました。」
M.G.ブライアン社の破砕機を保有している企業には、このソリューションをそれらの機器にも活用しようと機器を追加注文したところもあります。発注台数はすでに25台を超えています。このソリューションはまだまだ画期的な使用法がありそうです。「現在当社では、お客様の立場から見たこの情報システムの性能、予防保全といった点を確認中です」と、ラバドー氏は語ります。「ポンプやその他コンポーネントの耐用期間をハードデータとして生成できるようになりました。このハードデータは保証契約の履行に使用できます。例えば、エアフィルタ交換やエンジン修理の時期が来たらその旨お客様にお知らせできるのです。可能性は無限です。」
ここで紹介した成果は、M.G.ブライアン社でロックウェル・オートメーション製品およびサービスをその他の製品と併用した結果です。実際の成果は事例ごとに異なる場合があります。
公開 2013/08/01