レゾリューション・カッパー・プロジェクトは、レゾリューション・カッパー・カンパニー(リオ・ティントPLC子会社)が55%、BHPカッパー・インク(BHP PLC子会社)が45%を所有する有限責任会社である、レゾリューション・カッパー・マイニング社によって運営されています。
- 従業員の安全
- 資産保護
- 環境への影響の低減
- 換気、温度、水の管理
- 換気/冷却システムの効率を5%向上
- 光熱費10%削減
- 年間100万ドルの光熱費節約
エドガー・コシオ氏はリオ・ティント社のシニア・エレクトリカル・エンジニアです。同社は世界的な鉱業リーダであり、BHPカッパー社とともにレゾリューション・カッパー・マイニング社のパートナです。このジョイントベンチャーは、アリゾナ州フェニックスの東60マイル、マグマ鉱山の跡地に計画されている地下鉱山、レゾリューション・カッパー・プロジェクトを運営しています。
この鉱床は地表から約7,000フィート下にあり、現在最も重要な未開発銅鉱床の1つです。この鉱山が完全に稼働すれば、米国の銅需要の25%近くを供給できる可能性があります。
コシオ氏は次のように説明します。「誰もがEV (電気自動車)と電動化の流れに乗る中、銅は最も重要な鉱物の1つであるため、このプロジェクトが軌道に乗ることが最も重要なのです。需要は増え続けるだろう。」
EVは従来の車の4倍の銅を使います。レゾリューション・カッパー・プロジェクトは、2040年までに世界の供給量の約半分に相当する2億2000万台のEVを製造するのに十分な銅を保有しています。しかし地下1.3マイルにあるこの銅を安全かつサステナブル(持続可能)な方法で入手することが、レゾリューション・カッパー社にとって最優先事項なのです。
課題
作業員と設備の安全に不可欠な換気、温度、水の管理
コシオ氏は次のように述べています。「地下の気温は過酷で、時には仕事に耐えられないことがあります。温度90度から140度、湿度約100%の地下サウナを想像してみてください。では、どうすれば従業員にとって十分に安全で、設備が確実に作動するような良好な労働条件を維持できるのでしょうか?」
さらに、作業員が採掘区域に立ち入る際には、岩盤から水を除去し、処理し、監視しなければなりません。それは脱水と呼ばれるプロセスです。
コシオ氏は次のように説明します。「鉱山では毎分約500~600ガロンの取水があります。それ以外の場所では、基本的に湖で泳いでいるようなものです。従業員の安全を確保し、資産を維持するためには、私たちの水システムがそのような過酷な状況に耐えられるものでなければなりません。」
ソリューション
坑道の改修とシステムのアップグレードでリスクを低減し、環境への影響を最小化
レゾリューション・カッパー社は、将来の操業に向けて鉱山用地の整備を進めながら、こうした課題に取り組んできました。同社は鉱山の2つの立坑を改修し、今では米国で最も深い立坑の1つに数えられるようになりました。さらに、2つの立坑を連結し、坑内換気と従業員の安全性を向上させました。
さらに、エネルギー使用量を削減するというサステナビリティへのコミットメントの一環として、レゾリューション・カッパー社は、冷却装置を含む換気システムのアップグレードにも着手しました。
コシオ氏は次のように述べています。「私たちが行なった最大のことは、制御システムを見直すことでした。どうすれば自動化でき、よりサステナブルで環境に優しいものにできるでしょうか? 例えば、冷却装置のセルフ・スタータ・ドライブを可変周波数ドライブ(VFD)に置き換えるなど、新しい技術を導入することです。」
同社はPowerFlex®可変周波数ドライブを導入し、冷却システムで使用するグリコールの濃度を調整しました。グリコールはシステムの性能と効率に影響を与える不凍液成分です。鉱山開発が進むにつれて、換気のアップグレードも継続される予定です。
水を除去するために、レゾリューション・カッパー社は毎分600〜700ガロンの速度で水を汲み上げることができる多段式除水システムを導入しました。水はさまざまな深さのステーションを経て、敷地内の水処理プラントに送られ、最終的に飲料水として再利用されるか、農家が作物や家畜に使用する灌漑地区に転用されます。レゾリューション・カッパー社は、この複雑なプロセスを管理するためにロックウェル・オートメーションのPlantPAx®分散制御システム(DCS)を選択しました。
コシオ氏は次のように説明します。「私たちの除水システムは重要であり、特に地下にあるすべての資産については、PlantPAxは私たちが将来成功するための適切なソリューションであると思われました。現在、プロジェクトは開発段階にあります。PlantPAxは、鉱山が将来に向けて正しくセットアップされることを確実にするために、必要なバックボーンと信頼性を与えてくれます。最初から最後までプロセス制御を行なうことで、ダウンタイムを削減し、信頼性を高めながら、従業員や機器を保護することができます。」
結果
大幅な省エネとシステム効率の向上
一方、換気と冷却システムの初期改良の一環としてVFDに切換えたことで、レゾリューション・カッパー社はシステム効率を5%向上させ、光熱費を10%削減しました。
コシオ氏は次のように述べています。「セルフスタータでは、プロセス制御ネットワークを使用しても速度を制御する方法がなかったため、通常、モータホイールは始動時に多くの電流を消費します。VFDを使用することで、最初の立ち上がりサイクルでどれだけの電力が引き込まれるかを軽減することができます。」
このエネルギー削減は年間約100万ドルに相当し、「かなりの節約」となるため、レゾリューション・カッパー社では他のサステナビリティイニシアティブに充当する予定です。
コシオ氏は次のように説明します。「このプロジェクトでは、環境に配慮することが最も重要です。ロックウェル・オートメーションとのパートナシップは、特に、これから導入しようとしているテクノロジやその他のすべてのことで成功のカギを握っています。」
公開 2024/03/07