課題
- アデレード・コンベンション・センターのために業界をリードする座席ホイストシステムを設計、製作、設置する。
ソリューション
- リスクアセスメント - 安全要件に対処するためのリスクアセスメントを実施した。
- Allen-Bradley®のCompact GuardLogix® - 集中管理および安全要件を提供
- FactoryTalk® View ME - システムに対する包括的で正確な洞察を提供
- Studio 5000® - プログラミングを簡略化し、エンジニアリング時間を短縮
- PowerFlex® 755ドライブ - ホイストに電力を供給し、イーサネット経由で安全を提供
結果
- 厳重にインターロックされた近接センサ、パルス・ホィール・センサ、およびエンコーダにより、高度な安全を達成
- 手作業の必要性を軽減
- 座席の上げ下ろしを20分足らずで安全に行なうことができる。
1987年に、アデレード・コンベンション・センター (ACC)はオーストラリア初の専用コンベンションセンターとして竣工され、会議施設やサービスについての基準となってきました。毎年、ACCは約700の個別イベントを開催し、約200,000人の参加者とゲストを迎えています。
技術革新へのこだわりを持って、最近、アデレード・コンベンション・センターは3億9,700万ドルをかけた再開発を完了し、センターを世界で最も近代的で柔軟で技術的に進歩した会議およびイベント会場の1つに変えました。
今日、ACCは3つの独立していながらシームレスに統合された建物(東、中央、西)から構成され、20,000平方メートル以上の多目的イベントスペースを提供しています。各建物はアデレードリバーバンク地区の中心部にある会場の最高の位置を利用しており、自然光とパノラマの景色を一望でき、観光客に目的地に対する最高の意識をもたらします。
世界中のコンベンションセンターにとって継続的な課題は、その施設をさまざまな機能やイベント(階層型の座席を必要とするセミナーや基調講演から、平らなスペースを必要とする展示会や宴会まで)に、多くの場合迅速に適応させることができることを保証することです。
ACCの新しい東棟(2017年8月竣工)は革新と柔軟性の中心的存在です。主会場であるプレナリーホールでは、印象的な建築と最先端のインテリアデザインが組み合わさり、3,000人以上または3,000平方メートルの平らな床面積のための階層型の座席を提供しています。プレナリーホール独自のヒンジで連結された座席、可動式の壁、回転式の座席ドラムという組合せにより、あらゆるイベントに合わせて15以上の構成で座席を配置できます。ヒンジで連結された座席は、業界トップクラスのテクノロジを採用した世界最大の6台の座席ドラムホイストで移動します。このシステムの設計、開発、設置は、HMEサービス社が担当しました。
画期的かつ柔軟な座席システムの設計
ACCの座席自動化システムを一新するための入札に勝利したHMEサービス社は、会場の多機能使用に伴う安全要件を検討するためのリスクアセスメントを実施しました。そのため、必要に応じてオープンスペース会場または階層型座席会場として利用できます。
HMEサービス社の制御システム担当者であるジョン・ゲディーズ氏は次のように説明しています。「このプロジェクトに関わるエンジニアリングでは、特定の順序でメインの講堂エリアの上に座席を持ち上げて、そのエリアをオープンスペースの会場として使用している間は保管する必要がありました。」
「座席システムの設計は、不要時には座席を持ち上げ、天井構造に収納してロックするというコンセプトに基づいて行なわれました。座席ベイは機械的にヒンジで取付けられており、簡単に脱着が可能な持ち上げピンでホイストに連結されています。この持ち上げピンを座席ベイから取り外せば、座席を持ち上げることができます」と、ゲディーズ氏は述べています。
「リスクアセスメントによって、ロックウェル・オートメーションの統合安全が考慮されたAllen-Bradley®のCompact GuardLogix®シリーズのPLCをベースとしたハードウェアが、安全な環境の実現に必要であることを確認できました」と、ゲディーズ氏は説明します。
1台のCompact GuardLogixコントローラに、統合安全とイーサネットを介したモーションが組み込まれています。また、Studio 5000®を使用してコントローラをプログラムし、エンジニアリングと設計要素を1つの標準化されたフレームワークに統合することで、生産性の最適化とエンジニアリング時間の短縮が実現しました。システムの安全やモーションのプログラムにも、同一のソフトウェアが使用されました。ホイストの動力にはPowerFlex® 755ドライブを使用し、イーサネットを介して安全を管理しています。
「制御システムは、メインメイン制御キャビネットと各ホイストのホイスト制御キャビネットで構成されています。POINT I/O™モジュールとStratix®スイッチを活用することで、統合制御と安全のためのフィールド配線を1本のイーサネットケーブルに集約できました」と、ゲディーズ氏は述べています。
シンプルな制御と安全
プロジェクトの開始時に、ACCは制御と操作が簡単なシステムであることの重要性を明確にしました。座席のセグメントは後部の壁の曲線に合わせて設計されているため、上下動する際に互いに重なってしまいます。この問題を解決するために、自動的にセグメントをずらしたり、ホイストの動作をモニタしたりすることで、機械的な衝突を回避できるよう制御システムをプログラムしました。これは、オペレータが安全イネーブル押しボタンを押した状態で、PanelView™ Plusタッチスクリーンペンダントにあるプログラムされた押しボタンを作動している間は、この衝突回避動作が機能します。
このシステムで使用するFactoryTalk®ソフトウェアは、メイン制御キャビネットとPanelView™ Plusタッチスクリーンペンダントの画面に表示されます。メイン制御キャビネットの10インチPanelView™ Plusタッチスクリーンから、さまざまな診断や立上げ制御にアクセスできます。
制御システムは座席システムの6台すべてのホイストを管理します。マルチ・リーブ・プーリ・システムと合わせると、持上げ総重量は240トンにもなります。各ホイストには、2つの鋼鉄ワイヤ・ロープ・ドラムと、2つのゼロフリート鋼鉄ワイヤロープ追従プーリが取付けられています。ロープが掛けられている、または取り外されている間、これらの追従プーリはドラムとともに上下動します。各ドラムと追従プーリには、位置フィードバック装置が取付けられており、PLCでモニタされています。各フィードバック装置はPLCによってモニタされており、少しでも誤差が生じると、ホイストとシステムが自動的に停止し、安全にかかわる事故を回避します。
「この座席システムにとって安全は最優先課題でしたが、厳重にインターロックされたフィードバック装置を統合することで、高水準の安全性を達成できました」と、ゲディーズ氏は言います。
速やかな配置変更と手作業の軽減
HMEサービス社は、ACCのためにすべてのボックスをチェックするソリューションを提供しました。新しい自動化された新座席システムにより、手作業の必要性を軽減することに成功し、配置変更にかかる時間も短縮することができました。現在では、座席の上げ下ろしを20分足らずで安全に行なうことができ、時間の大幅な短縮ができるようになりました。
Adelaide Venue ManagementのProperty and Buildingsのゼネラルマネージャであるマイク・スミス氏は、次のように述べました。「私たちはHMEサービス社と連携し、ホイスト座席パネルに関するリスクを最小化する、またはなくすエンジニアリングソリューションを模索しました。装置のスペシャリストがいなくても、係員が安全に使用できるシステムの構築が必須課題でした。HMEサービス社によるソリューションは、操作が簡単で、複数のフェイル・セーフ・システムが組込まれており、私たちの業務で非常に重要な、信頼性が高く迅速な設定を可能にするものでした。」
Allen‑Bradley, CompactLogix, PanelView, POINT I/O, PowerFlex, Rockwell Automation, Rockwell Software, Stratix, およびStudio5000は、Rockwell Automation, Inc.の商標です。
公開 2019/01/25