お客様へのご提案
課題
- メンテナンス部門の業務に支障をきたすことなく、保管庫のレイアウトを見直し整理整頓する
ソリューション
- 保管庫の在庫分析 - リードタイム、利用状況、理論的適正在庫などの各種分析により、最適な手持在庫量を特定
- 保管庫クリーンアップサービス - シングルレベルレイアウトにより、保管庫を「一般向けエリア」と「立入制限エリア」に分割。過剰な在庫を排除し、必要な部品は商品タイプ別に再分類
結果
- 時間とコストを節約 - 部品を探したり、重複した発注処理に要する時間を短縮。3,000の過剰・陳腐化SKUを排除し、130万ドルの経費節減を達成
背景
2013年に創業155周年を迎えたジョンズ・マンビル社(JM)は、チャールズ・ダーウィンの進化論よりも古い歴史を誇ります。ダーウィンの理論が示すように、JMは屋根材や断熱材など特殊産業のニーズに応えることで進化を続け、生き残ってきました。
これまでの長い歩みの中で、JMは世界中の企業や消費者に屋根材、断熱材、エンジニアリング製品を供給するグローバルプロバイダへと成長しました。米国デンバーを拠点に、屋根材などの生活に身近な製品から航空宇宙産業向けのハイテク製品まで、ありとあらゆる業界を対象にパーソナライズされたソリューションを提供しています。
しかし、さまざまな業界と取引するには、北米、ヨーロッパ、中国に点在する45の生産施設に多種多様な機器を配備しなければなりません。そしてすべての機器が問題なく稼動し続けるよう、何百、何千という構成部品をアクセスが容易な場所に効率的に保管することが不可欠となります。
2011年秋に米国テネシー州エトワ工場のメンテナンスマネージャに就任したデビッド・マギチー氏は、当初、それがどれほど困難なことか気づかなかったと言います。
課題
「JMへの入社後、私が真っ先に取り組んだのは保管庫の改善でした。必要なときに必要なものを効率よく取り出せるよう、何がどこに、いくつあるのか一目で把握できる新しいシステムを考える必要がありました」と、マギチー氏は語ります。既存の保管庫は以前は問題なく機能していたものの、時代の変化に対応できておらず、機能性の早急な改善が求められていました。
マギチー氏の就任前1年半以内に移動があった在庫保管単位(SKU)は全体のわずか17%でした。「あの頃は本当に何もわかっていない状態でした。」「保管庫に何が入っているか大まかにしか把握しておらず、そのせいで生産性にも影響が出ていたんです」と、マギチー氏は語ります。
モノが乱雑に置かれた保管庫から正しい部品を見つけるのは簡単なことではありません。メンテナンスや修理に必要な部品を探すのに数時間を要することもあり、ダウンタイムの長期化につながっていました。
マギチー氏は以下のように語りました。「必要な部品が見つからなければ、当然、注文せざるをえません。」でも、その数週間後に探していた部品が保管庫からぽろっと出てくるんです。手元にあるのに、注文する。その繰返しでした」と、当時の状況を振り返ります。
マギチー氏たちは、実際のメンテナンス作業ではなく、保管庫での探し物に貴重な時間とリソースを費やしていました。装置を迅速に修理し、ダウンタイムを最小限に留めるためには、時間を効率的に活用する必要がありました。
マギチー氏は数か月にわたり試行錯誤を繰返しましたが、改善の兆しはほとんど見られませんでした。社内でこのタスクを完了するには、時間とリソース、人材が不足しているという結論に至った同氏は、そのため、ロックウェル・オートメーションの協力を仰ぐことにしました。
ソリューション
2012年春、ロックウェル・オートメーションのリライアビリティ&ストアルームサービスチームから提出された企画書は、工場の保管庫を完全に一新するというもので、他社のアプローチとは一線を画していました。
「他社の提案はバンドエイド(応急処置)的なものばかりでしたが、私たちには継続的な改善につながるソリューションが必要でした。「細部まで検討し、保管庫を一から作り直すことで問題を解決しようとしてくれたのはロックウェル・オートメーションだけでした」と、マギチー氏は語ります。
まず最初にロックウェル・オートメーションのチームは、保管庫の現状と保管部品の内容を分析する必要がありました。リードタイム分析や利用状況分析、ABC分析、理論的適正在庫分析により、最適な手持在庫量と発注頻度、発注量を特定。実際の改装作業に移る前に、これらの情報を基に新しい保管庫の要件を詳細に定め、その要件に沿ってレイアウトの見直しが行なわれました。
今回のレイアウト変更における最大の焦点は、従来のオープンビン式からクローズビン式への切換えでした。以前はすべての部品が仕切りのない棚に無造作に置かれていましたが、新システムでは小さな部品は収納力に優れた55個のVidmar®キャビネットに収納し、大きな部品はそのまま棚に置くことになります。
キャビネットを採用した一番のメリットは、過酷な生産環境から部品を適切に保護できるということに加え、新しいERPシステム(SAP)をより有効に活用できるという点にあります。同社ではこのプロジェクトが発動する18か月前にSAPを導入していましたが、部品の特定・追跡には効果を発揮できていませんでした。
「SAPを利用できたにもかかわらず、現場では依然として自分たちの記憶を基に、部品の山から手作業で探すという方法がとられていました」と、マギチー氏は話します。しかし、その状況もクローズビン式に切換えたことで一変します。新しいキャビネットの採用により、部品が整理・分類され、簡単に見つけることができるようになりました。
ただし、そこに至る道のりは決して容易なものではありませんでした。Vidmarキャビネットに部品を収納するには、まず保管庫全体に散在する部品をすべて取り出し、商品タイプ別に分類する必要がありました。また、その間、JMのメンテナンス担当者の業務に支障がでないよう、2列分の棚を解体して一時保管エリアを確保。その上で保管庫にあったすべての部品をチェックし、適切なキャビネットまたは棚へと収納していく作業が進められました。作業中にメンテナンスチームで部品が必要となった場合に備えて、収納先を記録することも怠りませんでした。
「たまねぎの皮を剥いていくような作業でしたね。「奥に行けば行くほど、大量に部品が出てくるんです。」
作業開始から17週間後、チームはようやく保管庫内の部品をすべて特定し、タグをつけ、整理することに成功します。部品はすべて商品タイプ別に分類され、小さな部品はキャビネットに、大きな部品は棚に、さらに大きなものは普段使用しない部屋の奥に整頓され、壁にはベルトを吊るすためのラックが付けられました。
プロジェクト完了までに、新しいロケーションに移された部品数はおよそ8,000個。保管庫は隣接した2つの部屋となり、一方には使用頻度の高い部品を置き、工場内の全従業員が利用できるように、もう一方は高価な部品の保管用としてメンテナンス担当者のみが入室できるようにしました。
「必要なものが何でも揃っているので、社内では1つ目の保管庫を”ジェネラルストア”と呼んでいます。「この新しいシステムにより、保管庫内を探し回る必要がなくなり、時間を大幅に節約することができました。高価な部品を傷つけるリスクも軽減され、安心です」と、マギチー氏は説明します。
どちらの保管庫もオープン式のシングル・レベル・デザインを採用しており、以前の乱雑なマルチ・レベル・システムよりもすっきりと見やすく、室内も移動しやすくなっています。
結果
新たな保管庫の導入、具体的には部品の分類とキャビネットの活用、不要になった部品の排除により、保管に要する面積を40%削減し、工場全体におけるメンテナンス作業の簡素化を達成したジョンズ・マンビル社ですが、一番の成果は部品を探す時間の短縮、重複した発注業務に関連するコストの削減、その両方に関連するダウンタイムの大幅な低減であると言えるでしょう。
また最終的には、過剰・陳腐化したSKUが3,000以上排除され、在庫品の無駄な廃棄を防ぐことで130万ドル相当の経費削減につながりました。
この目覚しい成果は工場長はもちろん、本社の保守、修理、運用(MRO)責任者、さらにはCEOの目にも留まりました。保管庫の視察に訪れたマネジメントチームは、その優れた機能性を目の当たりにし、同様のソリューションを全米のJM工場に導入することを決定しました。
「このプロジェクトが成功を収めたのは、多くの人たちの協力があってのことです。17週間にもわたる作業の間、辛抱強く、業務に取り組んでくれたチームのメンバーには感謝の気持ちしかありません。彼らと一緒に仕事ができたことを嬉しく思います」と、マギチー氏は感慨深い様子で語りました。
マギチー氏は、今回のプロジェクトは大成功であったと振り返りつつ、次のように続けます。「どのプロジェクトもそうですが、在庫リストにない部品で棚がいっぱいになるなど、予想しなかった問題に直面することはありました。しかし、どんな状況でもロックウェル・オートメーションのチームが全面的にサポートしてくれたので、不安はまったくありませんでした。」
それは、プロジェクトが完了した後も変わりません。」テネシー州エトワ工場には翌年、資産管理専門家(AMP)が派遣され、過剰在庫や陳腐化在庫の適切な廃棄について指導を行なっています。AMPのサポートの下、同社では新しい修理プログラムの配備、MRO修理の処理、MRO保証追跡プログラムの導入が進められており、全従業員が新しい保管庫の業務プロセスに短期間で順応することが可能になりました。
「ロックウェル・オートメーションは当社との約束をすべて実現してくれただけでなく、今も私たちを支えてくれています。彼らとのやりとりや共同作業は驚くほどスムーズで、安心して任せることができました。将来、同じようなプロジェクトが発生したときには、迷わずロックウェル・オートメーションを選びます」と、マギチー氏は語ります。
ここで紹介する成果は、ジョンズ・マンビル社でロックウェル・オートメーション製品およびサービスをその他の製品と併用した結果です。実際の成果は事例ごとに異なる場合があります。
公開 2014/01/01