お客様へのご提案
旧式のDCSが必ずしも悪いDCSというわけではありません。
数多くの旧式のDCSが、世界中のプラントで何の問題もなく稼動しています。御社でもお使いかもしれませんね。
いまだに、「DCSの移行時期はどうやって判断するんですか」、さらに続いて「どういう方法で行なえばいいんですか」という質問を毎日のように耳にします。
移行のタイミング
先ほどの2つの質問にお答えしましょう。ARCアドバイザリグループが発表した数値から、多くの企業が同じ疑問を持っていることがわかります。
- 650億台のプロセス・オートメーション・システムが生産終了に近づいている
- そのうち120億台の使用年数が25年以上
- これらシステムの専門家の20%が退職済み/近く退職を迎える(プロセスに関する知識は継承されない)
- サポートにはサードパーティの請負業者が必要であり、これによってリスクが高まる
こういった旧型のシステムには、次の2つの大きな問題が伴います。
- スペア不足
- 知識の欠如
部品が入手できたとしても、それを使うには第三者の知識が必要であり、それが最大のリスクを生み出します。多くのDCS専門家が十分な数の後継者がいないまま引退を迎えます。新しい専門家を見つけられたとしても、旧型システムに関する知識を持ち合わせていないのが実情です。
これらの要因を考慮すると、今こそが移行を実行するタイミングなのです。では、御社の状況に最適な方法とは何でしょうか。
第一の関門はコストを正当化する理由です。ここで、「壊れてないものは直さなくていい」という障壁にぶつかるかもしれません。
ここでは、先行投資コストだけでなく、全般的なコスト、そして利益を踏まえて財政面を見通す必要があります。最新技術への移行により、最適化機能の強化やライフサイクルコストの削減、増収、品質の改善を実現し、より多くのデータを迅速な意思決定に活用できるようになります。
前進に向けて:移行のカタチ
以前、旧式のDCSの移行についてお話しさせていたたいだように、移行のアプローチは通常、段階的もしくは完全な置き換えのいずれかに分けられます。
どちらのアプローチにも大きなメリットといくつかのデメリットがあり、どちらが適しているかは御社の状況によって異なります。
段階的移行のメリット:
- 完全な置き換えよりもダウンタイムが短くてすむ。場合によっては生産を完全に中断しなくても実行できる
- プロジェクトの規模に応じて保守予算から資金を得られる
- リスクが低い
- 緊急対策の一環として旧式のシステムに簡単に戻せる
段階的移行のデメリット:
- システム全体の移行に何年もかかる
- 旧式のDCSに関するより多くの専門知識がデリバリ・エンジニアリング・チームに必要
完全移行のメリット:
- 完全なシステムを利用できるまでの期間を数年から数週間に短縮できる
- 最適化により結果をすぐに得られ、より多くのデータにアクセスして意思決定力を向上できる
- デリバリ・エンジニアリング・チームに必要な旧式のDCSに関する専門知識が少なくてすむ
完全移行のデメリット:
- 大規模な中断が必要
- 通常、資金調達は資本経費予算から
- リスクが高い
どちらのアプローチが適しているかは、達成したい目標やどの程度の期間で成果を出したいかによって異なります。
御社の状況やスケジュールが何であれ、私の経験からひとつはっきりと言えるのは、壊れる前に「先手を打て」ということです。
公開 2016/10/03