資材搬送を最新化すべき時が来ました。あまり注目されていませんが、手作業による資材搬送から自動化に移行すると、ROIの大幅な向上につながります。自律走行搬送ロボット(AMR)を導入し、サイロ化された手動プロセスを統合型の生産物流システムに移行することで、企業は生産ライン間の資材の流れを効率化することができます。
この生産物流のビジョンを実現するには、AMRを完全接続型システムに統合して、ドック・ツー・ドックの自律的なマテリアルハンドリング、自動化されたプロセスの集中管理、およびデータに基づく洞察の活用を実現する必要があります。ハードウェアとソフトウェアを統合プラットフォームに接続することで、製造メーカはテクノロジスタック全体のデータを活用することができ、効率性の向上、コスト削減、スループットの改善が実現され、ROI (投資利益率)の向上につながります。
AMRで効率性を高め、設置面積を最小化
固定コンベア、フォークリフト、固定ルートのAGVなどの資産が俊敏性の高いAMRに置き換えられるため、統合型システムの導入は効率向上に貢献します。AMRは在庫をインテリジェントに搬送し、移動させるため、より短い距離で資材を高速に移動させることができ、ROIが向上します。また、AMRは施設のスペースを最大限に活用するためにも役立ちます。平均で、手作業で材料を移動させるためのスペースは工場の床面積の55%を占めます1。GEヘルスケア社はAMRを採用することで修理セルの設置面積を40%削減しました2。AMRはフォークリフトに比べて回転半径が小さく、通路を狭くすることができるうえ、ジャスト・イン・タイム納入によりパレットを積み上げる必要が減るため、そのための空間が解放されます。
労働力の再配分と安全の向上によるコスト削減
資材搬送の最新化は人件費の削減にも役立ちます。ある報告書によると、AMRを導入して人間の手による作業の必要性を減らすことで、運用コストを最大65%削減することができます3。AMRを導入することで、組織は反復的で付加価値の低いタスクを自動化し、より付加価値の高いタスクに人員を再配置することができるようになり、現在の労働力をより戦略的に配分することが可能です。作業員の満足度を向上させ、作業の身体的負担を減らすことで、士気が高まり、定着率が向上するという効果もあります。
AMRは、重い物を持ち上げる際やフォークリフトの使用によって引き起こされる労働災害を減らすことで、さらなる人件費削減につながっています。手動式フォークリフトは特に事故の原因となりやすいものです。平均すると、フォークリフト全数の11%が毎年何らかの事故に関与しています4。このような事故は重大になりがちで、他の安全に関する事故よりも平均回復時間が長くなります5。AMRを使用すると、組織はフォークリフトの使用や手作業が必要な業務をなくすことで、安全リスクを低減させることができます。フォルヴィア社はAMRを導入してから11カ月以内に安全に関する事故をゼロにまで減らしました6。AMRでは、周囲のエリアをモニタするために安全評価センサも使用されており、移動中の物体を避け、経路が交差した場合には回避動作を行なうことができるため、衝突の可能性が低減されます。
シミュレーション技術とエミュレーション技術でオペレーションを効率化し、プロジェクト期間を短縮
シミュレーションとエミュレーションは、さらに多くの成果を引き出す可能性を持っています。オペレータは、資材搬送のデジタル化および統合化により、システムによって収集された詳細なデータを使用して、考え得るさまざまなシナリオのシミュレーションを実行することができます。これは、最適化のチャンスの特定やボトルネックを予測して防止するうえで役立ちます。シミュレーション技術とエミュレーション技術の活用によりプロジェクトの期間も短縮されます。ある企業では、エミュレーション技術の活用により施設での立上げ時間を約5週間短縮するなど、プロジェクトの総時間を18%短縮できることがわかりました7。視認性、洞察、協調性といったこれらのメリットをすべて組み合わせると、必然的によい結果につながります。より効率的なシステムを導入することで、企業がよりスマートに意思決定を行ない、スループットを向上させ、収益を向上させるのに役立つ定量データが得られます。
スケジューリングを最適化しスループットを向上
包括的なアプローチをとると、かつてはサイロ化されていたプロセスを協調させることで生産スケジュールが最適化され、スループットが向上します。全体として、統合生産システムを導入すると平均スループットが13%向上します8。資材搬送のさまざまな要素を生産計画に組み込み、人間のオペレータ、AMR、無人搬送車(AGV)の作業を調整して各移動工程の順序を慎重に検討すると、適切な資材が適切な場所、タイミングで流れるようにすることができます。
統合システムは、リアルタイムでの微調整も可能にし、スケジューリングをさらに最適化し、スループットを向上させます。スケジューリング、機械の可用性、およびツールを連携させることで、状態の変化に伴うボトルネックの回避を目的とした機械間の負荷分散などを迅速に調整することが可能になります。ラインごとに専用の機械を配置するのではなく、お客様の需要の変化やリソースの可用性といったリアルタイムに変化する条件に基づき、これらの間で作業負荷を動的に分散できると考えてみてください。また、統合システムでは、条件が変わったときに作業スケジュールを守り続けるために人間が介入する必要がなく、生産計画をリアルタイムで調整できるため、必要なときにすべての状態を把握することができます。
生産物流はオートメーションの次のフロンティア
資材搬送に対して総合的なアプローチで取り組むと、組織が今日の製造環境で優位に立つ機会を得ることができます。ダイナミックルーティングとプロセスの協調化は、変化する状況にオペレータが対応し、生産スケジュールを維持するうえで役立ちます。これには、人件費や負傷の削減にとどまらず、効率性の向上、床面積の節減、スループットの向上によって新たな収益を引き出すというメリットがあります。生産物流の統合により、組織は企業全体を真の意味で接続化し、協調的な生産システムを実現できます。
1 “Proposed improvement of production floor layout using urban algorithm…” U Tarigan et al, 2021 IOP Conference Series: Materials Science and Engineering.
2 GEヘルスケア社の顧客事例、OTTO
3 AGVs, AMRs and picking robots to lead the automated warehouse market, worth $27B by 2025 - Logistics Management
4 産業トラック協会の統計
5 5 Common Forklift Accidents and How to Prevent Them - OSHA.com
6 Predictions for 2025 and beyond: AMRs poised for accelerating adoption - Automation Magazine
7 エミュレーション技術で倉庫オートメーションをスピードアップ
8 ロックウェル・オートメーションの内部データ