老朽化の進むDCSを廃止し新システムに切換えたガス燃焼式コジェネレーション発電所

老朽化の進むDCSを廃止し新システムに切換えたガス燃焼式コジェネレーション発電所

課題

  • コジェネレーション発電所でプロセスシステムの陳腐化リスクがあった
  • リポン・コジェネレーション社が使用していたDCSは旧式で現地でサポートされておらず、予定外のダウンタイム発生の原因となったり、システムのトラブルシューティングに時間がかかっていた
  • 安全機能のスレッショルド(閾値)がシステムにハードコードされていたため、否応なく煩わしいフェイルセーフとなり再起動につながっていた
  • ヒストリアンサーバの故障が原因で、リポン・コジェネレーション社は貴重なプロセス情報を失ってしまい、分析に必要なデータがない状態で運用していた

ソリューション

結果

  • オペレータのパフォーマンスが向上した
  • スタートアップ時間が約10%短縮し、煩わしいフェイルセーフも90%削減された
  • 規制要件に準拠しやすくなった
  • オペレータの柔軟性が向上したとともに、プロセス変数をPlantPAxシステムでモニタできるようになった

背景
リポン・コジェネレーション社はベレセン社の子会社で、米国最大規模の公益事業に電力を販売しています。販売された電力は、カリフォルニア州北部と中部の一般家庭やビジネスに供給されます。同社のプラントは50メガワット規模でサンホアキン・バレーにあります。このプラントのタービンから出た蒸気は蒸留水となり、隣接する加工メーカで使われます。

このプラントでは分散制御システム(DCS)が陳腐化しており、創業25年の2012年、その廃止が決定されました。

リポン・コジェネレーション社の運用および保守マネージャであるブレット・ウェーバー氏は次のように述べています。「当社のシステムは老朽化が進んでおり、性能が維持できず修理するにもコストばかりかさんでいました。また、旧式システムに精通した人がほとんどいなくなっていましたし、ベンダーのサポートも限られており、何らかの措置を講じる必要がありました。」

課題
深刻な問題:フェイルセーフが複数ありましたがどれもDCSにハードコードされていたため、プロセス変数 (例えば温度など)に少しでも偏差があると、システム全体がオフラインに切り換わりプラントがシャットダウンしていました。多発していたこの問題に対しオペレータや技術者らにできることは、発生すれば対応するという方法のみでした。

プラントがシャットダウンするとガスタービンをはじめ、それを支える大切なサブシステム(冷却装置、逆浸透、蒸留水生産プラント)も再起動する必要がありましたが、そのたびに時間が1時間もかかりプラントでの生産に食い込んでいました。

また、何度にもわたる再起動のせいで排出ガスの量が上限を超えるという危険もありました。車の排出ガスはエンジンをかけたときに多く出るのと同じで、発電所もスタートアップ時に可燃性ガスの排出量が多くなります。カリフォルニア州では発電所の排気量をはじめ環境に影響を与える因子が厳しく規制されています。リポン・コジェネレーション社は、プラント周辺の地下水の水質からアンモニア濃度まで、12もの許可をそれぞれの規制機関から得てプラントを操業しています。

現地でサポートが得られず保守の専門家もいない状況で、時代遅れのDCSを使用することは複雑すぎました。

「システムに問題が発生すると、そのたびにサポートを待つ必要がありました。3週間待ったこともありました」と、ウェーバー氏は語ります。 保守と修理が頻繫になり、否応なくコストも時間もかかるようになりました。

そのうえ、2012年にプラントのサーバが機能しなくなったときに、プロセスヒストリアンも完全になくなりました。DCSシステムの性能が低下しているところに、データまで失ってしまったのです。サーバとヒストリアンは修理した場合、2万ドルかかるほどのプロジェクトでしたが、データを復旧できる保証はありませんでした。

また、生産レポートも毎日、手作業で作成していました。プラントのオペレータが制御システムのメータからデータを記録し、Webページのデータを手で書き写して生産レポートに入力して、離れた所にいるバイスプレジデントに送信していたのです。手作業によるレポート作成には毎日1~2時間もかかっていました。

ウェーバー氏は次のように述べています。「新しく就任されたCOOが視察に来られプラントの現状をご覧になったのがきっかけでした。新しい制御システムと統合型情報ソリューションを導入するというプラントの提案が承認されるまで、わずか30分でした。」

ソリューション
新しいシステムは情報対応型、拡張可能な多分野にわたる制御プラットフォームを基盤としています。このプラットフォームはプロセスと安全制御、通信機能と最新式のI/Oの組み合わせです。システムにはI/Oが750点あり、最大1000点のプロセスデータを収集できるようになっています。プラント独自の古いネットワークはEtherNet/IP™に切換えられ、新システムの導入が簡単に進みました。元々プラントにあったサブシステムとの統合もスムーズにできました。

PlantPAx™システムでは、エラーが発生しやすく手作業でデータを収集するというプロセスが廃止され、データ・ヒストリアン・ソフトウェアをはじめ、仮想化・分析・レポートポータルが実装されておりロールベースのダッシュボードが表示されます。生産状況をリアルタイムで把握できるのです。PlantPAxシステムは監視レベルの視覚化機能も実装しています。オペレータにとって生産情報の把握が可能となったほか、診断情報がオペレータ制御室(再設計後アップグレードしました)で正確に取り込まれます。PlantPAxシステムでは、プロセスシステムの履歴データをすべて使用して、毎日、自動的に生産レポートが作成されます。そのため、プラントオペレータはシステムの運用のみに集中できます。手作業でレポートを作成していた日々は過去のこととなりました。

当時は、何が原因でシステムに異常が発生するのか完全に理解できていませんでした。例えば、プラントのガスタービンです。ガスタービンには特定の制御ポイントがあり、T2–タービン入口側の気温が参照されます。PlantPAxシステムの場合、オペレータはT2温度とその影響因子を把握することができます。そのため、先を見越して変化に対応でき、生産性が向上します。

結果
PlantPAxシステムの導入に伴い、1つに統合されたオープンな通信プロトコルが実現、リポン社のパフォーマンスはプラント全体で改善されました。以下のようなメリットがありました。

  • シャットダウン数が大幅に減少 – 新システム導入後、煩わしいフェイルセーフの回数がほぼ90%減少。
  • 法規制の遵守 – 予定外のシャットダウン数が少なくなったため、プラントのスタートアップが1日1回となり排出ガスの量が余裕で上限未満に維持されている。「PlantPAxシステムの導入により、制御機能が自動化されオペレータがリアルタイムで状況をモニタできるようになったため、間接的ですが法規制遵守の点でも助かっています」と、ウェーバー氏は語ります。
  • スタートアップの時間が短縮 – 以前はプラントの再起動に1時間かかっていたが、新システムでは約45分でスタートアップ。
  • プロセス変数が制御可能 – システム変数をPlantPAxのダッシュボードでモニタできるようになったため、少しの異常ならその場で対処、必要であればシステムをシャットダウンなどと決断できるようになった。
  • 1つのオープンネットワーク – プラントの拡張が簡単になり、新しいイーサネットベースの機器類を有効に活用できるようになった。このネットワークは独自仕様ではないため、採用・トレーニングプロセスも簡単。新人のエンジニアが専門知識を備えていなくても、システムを操作しトラブルシューティングできる。
  • 製造インテリジェンス – 問題が発生した場合、プラントのオペレータはリアルタイムのシステムデータを使用して対処にあたることができる。また全速力での操業も極力避けられる。現地でのベンダーによるサポート – 必要に応じて至急、マーベリック・テクノロジーズ社とロックウェル・オートメーションから専門家が派遣される。

ウェーバー氏は次のように述べています。「外観上も美しい完全統合型のオートメーション制御システムです。操作もまったく新しくなりました。

オペレータとして席に座ると、完璧な車を運転しているような感覚があります。車体はシボレーでエンジンはフォード、ダッシュボードはトヨタというようなちぐはぐさがありません。今回のプロジェクトでできた基準は今後、プラントで行なうプロジェクトの基準となります。ベレセン社のプラント設計のよいお手本です。」

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