メキシコのキミ花王(Quimikao)社、プロセスオートメーション技術と仮想化技術を導入

キミ花王社、プロセスオートメーション技術を導入

課題

  • 生産需要の増加に応えるため、メキシコに新たな施設を建設
  • 新施設の設計については日本の化学薬品プラントを模範とするが、言語やタイムゾーンに伴う障壁を低減するため北米に拠点を置く制御システムサプライヤを利用する

ソリューション

結果

  • より効果的な冗長制御および処理のあらゆる面に対する可視性の向上
  • 生産効率の改善、および製品品質と一貫性の向上

PlantPAxシステムアーキテクチャは制御、可視性、より優れた産業システムセキュリティを提供

背景

日本の化学薬品会社である花王は、日本初の国内石鹸製造メーカとして19世紀後半に名を馳せました。当時は輸入石鹸が市場を支配していたにもかかわらず、同社の石鹸「花王石鹸」は大きな成功を収め、日本の消費者市場に基盤を築きました。

花王石鹸の成功を足掛かりとして、同社は保湿液やシャンプー、オイル、洗剤といったその他のパーソナルケア製品やホームケア製品を次々に発売しました。

現在、花王は業界をリードする化学薬品会社として日本国外にも事業を展開しており、世界中の連結会社にわたり33,000人もの従業員を抱えているほか、110億ドルを超える年間売上高を誇ります。

花王のグローバル事業の1つに、35年以上前にメキシコのグアテマラ付近に設立されたキミ花王社があります。

現在、キミ花王社では、南北米およびアジア、オーストラリアの市場向けに製品を製造しています。

同社は主に、柔軟剤や香料化合物からアスファルト乳剤、石油に用いられる腐食防止剤まで、多様な製品を対象とした脂肪酸のカチオン界面活性剤誘導体を製造しています。

キミ花王社は最近、液体洗剤や柔軟剤といった製品の化学塩基であるニトリルの需要増加に対応するため、メキシコ国内に新たなプラントを建設することを決定しました。

キミ花王社は新たな施設を一から設計するのではなく、日本国内に既存の花王プラントを模範として、現地でプロセスオートメーション制御およびサポートサービスを調達する方法を選択しました。

課題

ニトリルの製造は反応システム、蒸留システムおよび補足サービス(脂肪酸の供給など)、蒸気発生システムという3つの主な化学処理を経て行なわれるため、メキシコに建設される新たなプラントには、これらの各エリアを稼働させる分散制御システムが必要でした。

この施設にはクラスIディビジョン2の危険な領域が含まれ、処理のあらゆる側面に対するセキュアなアクセスと可視性が必要とされました。

日本のプラントをメキシコのプラントの基礎として活用すると言っても、施設をそのまま複製するわけにはいきません。

日本のプラントは、メキシコでの経験や存在感が極めて低い日本のソリューションプロバイダが提供した制御システムを中心に構築されていました。そこで、メキシコを拠点とするシステムインテグレータのORDI社に、6か月のプロジェクト期限内にオートメーション制御システムを設計し新たな施設に設置するというタスクが課されました。

仮想PlantPAxシステムにより、オペレータはニトリル製造の全プロセスを各自のワークステーションから制御できるようになりました。またこのシステムは高度な監視および診断システムを提供しました。

「私たちは日本側のプラントのエンジニアと面会し、新たなプラントのシステム設計について話し合いました」と、ORDI社のプロジェクトマネージャであるサルバドール・アレハンドロ・リーヴァス・ロジャス氏は語ります。

「プロジェクトを期限通りに進めつつ、元の施設の要件を満たす最善のアプローチを決定しなければなりませんでした。日本から機器やコンポーネントが届くのを待っている時間はなく、また私たちは現地言語でのサポートサービスを希望していました。」

化学薬品業界のオートメーション施設を専門とするORDI社は、新たなプラントにおける設計や設置、立上げプロセスを加速し、直感的かつ柔軟なシステムを提供するため、北米を拠点とする機器およびソリューションプロバイダを選択しました。

これにより、メキシコのオンサイトインテグレータと日本のサポートスタッフの間に浮上していたであろう、コミュニケーション面での問題も解消されます。

ソリューション

ORDI社はロックウェル・オートメーションの仮想PlantPAx®プロセス・オートメーション・システムの導入を決定しました。プロセスおよびディスクリート制御を単一のシステムに組み合わせたPlantPAxは、ニトリル製造の全段階に対し冗長制御を提供します。

このシステムは完全な診断モニタ機能を備えており、ニトリル製造のあらゆる面に対する可視性を提供するだけでなく、本質的に安全なバリアを使ってフィールドデバイスをモジュール入出力に接続することで、危険な領域に関するクラスIディビジョン2の要件を満たします。

従来の物理インフラよりも優れたメリットをもたらすという理由で、VMware vSphere®プラットフォームとPlantPAx仮想イメージテンプレートを利用した仮想インフラ基盤が採用されました。

例えば、仮想マシンはフォルトトレランスを向上させるだけでなく、常に利用可能です。これは、危険かつ爆発性の化学薬品を伴うプロセスにおいて不可欠な要素です。

また仮想インフラは障害回復能力にも優れており、物理コンピュータが稼働を停止した場合でも仮想マシンのバックアップが直ちに利用可能となります。

PlantPAxシステムはプロセスおよびディスクリート制御を組み合わせ、ニトリル製造の全段階に対する冗長制御を提供します。

ORDI社とロックウェル・オートメーションはどちらもメキシコ国内に現地拠点を置いているため、両社はプロジェクト全体を通じて密接な協働関係を築くことができました。

ロックウェル・オートメーションはORDI社のソフトウェアアーキテクチャおよびEtherNet/IPネットワークアーキテクチャ設計を検証し、開発段階においてオンサイトサポートを提供しました。

結果

仮想PlantPAxシステムの実装後、新たなキミ花王社の施設では同社の第一号施設に比べ生産効率の改善、そして製品品質と一貫性の向上が見られました。

元の施設では年間4,000トンを製造していたのに比べ、新たなニトリル施設での年間製造量は7,300トンにまで増加しました。

PlantPAxシステムにより、オペレータは各自のワークステーションからニトリル製造の全プロセスを制御できます。

またこのシステムが提供する高度な監視および診断システムを通じ、オペレータは複数機器の測定値に一元的にアクセスし、これを監視できます。この点は、将来的に予防保全の向上と修理コストの削減につながる可能性があります。

ORDI社はロックウェル・オートメーションのプロセス・オブジェクト・ライブラリを活用することでプロジェクトをスケジュール通りに進め、開発段階における人為的ミスの可能性を減らしました。

ORDI社のIT開発コーディネータであるルイ・ミゲル・ガルシア・ホー氏は次のように語っています。「テンプレートライブラリは使いやすく、おかげでテストやデバッグの所要期間を数週間から数日に短縮できました。キミ花王社が求めていたのは特定のアプリケーションに合わせてカスタマイズされたライブラリでしたが、ロックウェル・オートメーションのライブラリはお客様の仕様に合わせて容易かつ効率的にカスタマイズできました。」

また、ORDI社はPlantPAx仮想イメージテンプレートの強みをいかして開発時間の短縮も実現しました。

このテンプレートは、構成済みの一時テンプレートとしてシステムの中核的な要素を提供します。

「仮想イメージテンプレートのおかげで、HMIアプリケーションのインストールとセットアップに要するエンジニアリング時間を大幅に短縮できました」と、ホー氏は語ります。

ここで紹介した成果は、キミ花王社でロックウェル・オートメーション製品およびサービスをその他の製品と併用した結果です。実際の成果は事例ごとに異なる場合があります。

PlantPAxはRockwell Automation Inc.の商標です。EtherNet/IPはODVA Inc.の商標です。 VMware vSphereはVmware Inc.の商標です。

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