マリンクロット・ファーマシューティカルズ社が制御システムをアップグレード

マリンクロット・ファーマシューティカルズ社がシステムをアップグレード

課題

  • スペアパーツの可用性が低い旧型システム
  • 予防保全を実施できない
  • 日次生産報告の負担が大きい

ソリューション

  • PlantPAx®分散制御システム(DCS) – 標準化されたプログラミングで機能仕様をアップデート、 別々のロケーションで重複したシステムでプログラミングを簡素化、インフラ基盤の仮想化によりバッチおよびHMIソフトウェアを少ないサーバ数で実行
  • 製造インテリジェンス – アップグレード済みHMIで旧式システムから再描画したグラフィックスを使用、レポートおよびヒストリアンソフトウェアが 予防保全に向けたデータを収集、追跡、記録
  • システムの設計と納入 – ロックウェル・オートメーションのソリューションプロバイダである、ストーン・テクノロジーズ社と智成電子股彬有限公司(シントロニクス)がソリューションを設計および納入

結果

  • ダウンタイムの低減 – わずか5週間のダウンタイムで導入を完了し、数日以内に稼働時間を増大
  • データアクセスの改善 – 生産レポートが実用的な情報を提供、問題に対するオペレータの トラブルシューティング能力が向上

PlantPAx分散制御システム(DCS)が製薬メーカのダウンタイムを削減

背景

これまでに骨折やMRI検査の経験がある方なら、マリンクロット・ファーマシューティカルズ社の製品を使用されたことがあるかもしれません。50億ドルの収益を誇る同社は、特殊医薬品と診断画像物質の生産を手がけるグローバル企業で、国内をリードする処方鎮痛薬のサプライヤとして、大手卸売業者や小売ドラッグストアチェーンに製品を販売しています。疼痛管理薬の製造に注力しており、これによって単なる医薬品メーカから痛みの原因特定に使用する機器の製造メーカへと躍進を遂げています。

セントルイスにある40エーカーの構内には医療品有効成分(API)プラントがあり、麻酔やその他販売可能な最終製品に使用する成分を生産しています。FDAの検証を受けたこの施設は築145年以上が経過しており、およそ450名の従業員がここで働いています。

プラントの制御機器は1985年に設置されたもので、その維持には多大なコストがかかっていました。マリンクロット社は劣化した技術をアップグレードし、共通の制御システムプラットフォームをプラントに導入する必要がありました。また2013年の株式公開以来、コストと運用効率はかつてないほど重視されており、株主に対する責任も発生していました。制御システムのアップグレードは、同社のビジネス発展と稼働時間増大の実現を意味するものでした。

課題

システムオペレータにとって、旧型システムに伴う大きな問題の1つはサポートが限定されていることでした。プラントの全エンジニアリング従業員のうち、機器を稼働しているプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)技術について理解しているのはわずか二人。サービスとベンダーサポートは最小限に抑えられており、スペアパーツの可用性やコストも必要最低限なものでした。その結果発生したのが、多額の出費につながる長時間のダウンタイムでした。

マリンクロット・ファーマシューティカルズ社の保守エンジニアであるドン・ギアーズ氏は次のように述べています。「コスト回避はシステムのアップデートへと踏み切らせた大きな要因でしたね。ハードウェアの障害に起因するリスクは大きな懸念でした。そこで当社はこういった問題を回避するために、パーツの可用性が高く、維持しやすい制御システムを新たに導入したいと考えていました。」

これまでの古い技術では、保守エンジニアが予防保全を実施することは不可能でした。日次生産報告についても、実際に発生してからでないと問題を正確に特定できないという課題がありました。対応的な保全が唯一のソリューションであれば、予想外の長時間にわたるダウンタイムは必然的です。

ダウンタイムのコストが変更に伴うコストよりも高額になることに気付いた同社は、制御システムのアップグレードを決定しました。年中無休で稼働する施設で製造プロセスの中枢を置き換えるには、慎重な計画が不可欠です。チームは、移行に伴うダウンタイムを抑え、稼働の再開直後から新しいシステムを効率的にフル稼働させることを目標にアップグレードへと踏み切りました。

ソリューション

システムのアップグレードにあたり、チームが採用したのが仮想アーキテクチャでした。マリンクロット社は、旧式のPLCを既存VMwareの仮想インフラ基盤に基づくロックウェル・オートメーションのPlantPAx®分散制御システム(DCS)に置き換えることを決定しました。PlantPAxの仮想化プラットフォームなら、プラント全体の複数分野を制御し、バッチやHMIソフトウェアの実行に必要な物理サーバを削減できるため、サーバやワークステーションに必要な保守作業を大幅に軽減できます。

ダウンタイムを最小限に抑えるためにシステム設計は2段階で行なわれました。第一段階は、マリンクロット社の保守チームがロックウェル・オートメーションのエンジニアリング、規格の開発とプログラミングを担当する現地のシステムインテグレータであるストーン・テクノロジーズ社と智成電子と協働で行ないました。完了後には、ロックウェル・オートメーションが各種文書と機能・設計関連の仕様書を作成しました。その後、チームがプログラミングコードの作成、テスト、検証を実施しました。この標準コードは次の段階だけでなく、施設で新しく導入するプロジェクトにも使用されます。

開発段階中、ロックウェル・オートメーションのクリーブランド施設には、スタートアップ前にプログラミングのトラブルシューティングと最終調整をサポートする重複システムがありました。マリンクロット社は、問題やシステム変更が発生した場合に技術サポートエンジニアによるサポートを要請できるようこのサービスを確保しました。

2つ目の段階では、新しいプログラミング基準を使用した機能仕様に基づくアップデートが実施されました。既存の生産ラインの文書を活用できたため、プロジェクトのリスクが低減しただけでなく、プラントエンジニアリングや品質、検証のチームメンバがすでに文書に精通していたため、新しいシステムへの移行もスムーズで、これがシステムのテストと検証にかかる時間やコストの削減につながりました。

現地のシステムインテグレータとロックウェル・オートメーションのサポートの下、マリンクロット社の施設で工場出荷時テスト(FAT)が実施されました。3か月間に及ぶテスト実施後、稼働ユニットにシステムを設置。医薬品や画像物質の生産に使用する高額な薬液の追加前に全システムコンポーネントが正しく稼働していることを確認するため、複数の水バッチが実行されました。テストの成功が実証されると、ロックウェル・オートメーションと智成電子のエンジニアが施設でのスタートアップを完了しました。

PlantPAxシステムの一環として、レポートおよびヒストリアンソフトウェアが製造インテリジェンスの改善に向けて導入されました。このソフトウェアは主要なプロセスデータを収集、追跡、記録して生産傾向を正確に特定するため、予防的な保全作業が可能となります。また、検証済みの電子レポート機能が搭載されたため、日次電子生産報告を通じて規制報告要件を満たし、全体的な運用を合理化できるようになりました。

マリンクロット社は、HMIオペレータターミナルのアップグレードも実施しました。新しいHMIグラフィックスは施設にある旧型のHMIから再描画され、新しいAPIライン向けに140のプロセスグラフィックスのスクリーンから構成されました。同社の目標は、稼働の開始時にオペレータが新しいシステムに簡単に移行できるよう、プラントで使用している機器と同様の運用インターフェイスを維持することでした。

結果

結局、わずか5週間で立上げを完了し、スマートエンジニアリングや移行ツール、包括的な機能テストのおかげで設置に伴うシステムのダウンタイムを最小限に抑えることに成功しました。

「新しいPlantPAxシステムは、診断/トラブルシューティングに関する優れた情報を制御システムのハードウェアに提供してくれました」と、ギアーズ氏は語ります。「制御と情報を統合した1つのプラットフォームを導入したことで当社の保守はコストのかさむ対応的なものから予防保全へと移行することができました。予防保全はこれまでの技術では不可能でした。おかげで、ダウンタイムの低減が今後さらに見込めます。」

別々の建物に設置された冗長仮想インフラ基盤が追加的な保護レイヤーを提供しているのも大きな特長で、これにより1つのロケーションで致命的な故障が発生してもシステム全体が停止することがありません。また、点在する情報を集約できるのも仮想プラットフォームのメリットです。データセンタでシステム障害が発生した場合、マリンクロット社のチームはバックアップを使用しますが、スケジュールに基づく保全停止の間もバックアップを実行できるため、生産ラインを稼働し続けることができます。

故障が発生した場合、システムを再起動してラインを再開するまでの時間が仮想化により8~24時間も短縮されるとマリンクロット社は予測しており、3つの異なる施設において(1つの施設がその他すべての建物の主要な電力供給源として機能)、仮想化は迅速な障害回復オプションとなります。

保守の視点から見ると、制御システムのアップグレードは成功と見なされますが、アップグレードがもたらすメリットは保守だけにとどまりません。マリンクロット社の環境・労働安全衛生(EHS)、プラントフロア、生産、リーダシップの各チームは、PlantPAxプロセスヒストリアンから連続プロセスデータにアクセスできるようになったため、規制で定められている報告要件をより簡単に満たしながらリアルタイムで生産情報にアクセスし、必要に応じてアクションを実行することができます。

新たなレベルのシステムデータへのアクセスにより、構内全体のオペレータやマネージャがメリットを実感しています。ヒストリアンソフトウェアのデータはExcel®スプレッドシートのソフトウェアがあれば施設の誰でもアクセスでき、構内のどの建物からでも分析できます。EHSの専門家はリアルタイムのデータを分析し、危険な薬液が環境に放出していないか確認することができます。またHMIに生産データを入力するオペレータは電子バッチ記録を作成できるため、コンプライアンス報告のエラーリスクも低減します。

日次生産報告は、数日間分のバッチから収集した、相関性のあるプロセスデータを提供します。エンジニアやマネージャはこれを基に傾向を迅速に特定し、変更を加えて生産を合理化したり、潜在的なボトルネックを突き止めることができるため、潜在的な問題を予測してより迅速に対応し、一貫性と高い品質を維持できます。

ギアーズ氏は次のように述べています。「ロックウェル・オートメーションがアップグレードについて最初に提案してきたとき、彼らのチームはライフサイエンス業界のお客様にサポートを提供するエンジニアから構成されていました。当社の製薬の業務の流れや用語を理解した専任チームがいたことで、当社の意思決定チームは安心してプロジェクトを任せることができました。中断や問題を最小限に抑えながら厳しいスケジュールを守ることができたのは、彼らのおかげですよ。」

制御システムとレポートをアップグレードするきっかけとなったのは保守問題だったかもしれませんが、オペレーティングシステムの改善と生産データへのアクセス向上により運用全体に多大なメリットがもたらされました。このアップグレードにより、マリンクロット社は全エンジニアリング部門で使用できるツールを構築し、チーム全体が活用できる制御システムのインフラ基盤を実現しました。

ここで紹介した成果は、マリンクロット・ファーマシューティカルズ社でロックウェル・オートメーション製品およびサービスをその他の製品と併用した結果です。実際の成果は事例ごとに異なる場合があります。

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